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手作り石鹸の用語事典
CPソープ、MPソープ、手練石けん作りで使われる専門用語の事典です。手作り石けんの専門書籍や石鹸作りに使われる一般的な言葉をまとめました。
精油を水蒸気蒸留法で抽出する際に取れる副産物。99%以上が水分で、水溶性の芳香物質が溶け込んでいます。手作り石鹸では精製水の代わりにアロマ・ウォーターを加えると各アロマ・ウォーターの持つ作用が期待出来ます。 ピュアナチュラルの精油。天然の香りづけを目的に加えます。希釈濃度は洗顔石鹸で0.1〜1%、ボディ石鹸やシャンプー石鹸で1〜2.5%を目安にします。ベビー石鹸には精油は加えずに作ります。精油を加える場合は対象や肌質、アレルギー、禁忌事項を考慮して加えます。 エムピーソープ。Melt(溶かして)&Pour(流す)石鹸の意。アロマショップ等で市販されているものは透明で四角くカットされた「MPソープの素」になります。これをレンジで温め、液体状にし、型に流し入れて石鹸を作ります。別名をグリセリンソープと呼ばれ、原料にヒマシ油とソルビトール(糖アルコール)含んでいるため透明感のある石鹸に仕上がります。このMPソープを素から手作りする場合は植物油、精製水、苛性ソーダの基本材料の他にショ糖、グリセリン、アルコールを加えます。
主にCP石鹸作りに使われる言葉ですが、MPソープ、手練石けんにもオプションを加えて作ります。基本材料とは別に加えるもので過剰油脂分のオイル(シアバター、ココアバター、浸出油、必須脂肪酸オイルなど)、ハチミツ、クレイ、ドライハーブ、ハーブパウダー、アースピグメント、海藻パウダーなど様々です。主に石鹸の香りづけや色づけを目的として加えるものと石鹸に洗浄や保湿などの作用を与えるものがあります。 ■解禁 特にCPソープの場合、4週間ほどの乾燥&熟成の後に実際に石けんを使える日を表わします。 ■苛性カリ 別名、水酸化カリウム。液体石鹸には欠かせない化学薬品原料です。苛性ソーダと同じく劇薬のため取扱いには注意が必要です。市販では入手しにくい薬品です。 ■苛性ソーダ 別名、水酸化ナトリウム。固形石鹸には欠かせない化学薬品原料です。苛性カリと同じく劇薬のため取扱いには注意が必要です。 → CPソープ 苛性ソーダの取扱いページへ ■乾燥 CPソープは型から出してから1〜3日ほど乾燥させてからカットします。カットした後の石けんは1ヵ月ほど時間をかけて涼しく風通しのよい室内に置いて乾燥させます。乾燥させる間は木箱に入れておきます。 ■生地(種、タネ) CP石鹸の場合は苛性ソーダ水溶液と植物油を混ぜてトレースが出たものを言います。手練石けんでは精製水とオイルを加えて練った粘度状のものを一般に石けん生地と呼びます。 CPソープは植物油と苛性ソーダ水溶液で鹸化させる事により化学反応の副産物である天然のグリセリンが得られます。グリセリンは化粧品などにも加えられる天然の保湿成分です。市販の石鹸からは製造工程中にグリセリンが抜き取られている事が多いのですが、手作り石鹸にはこのグリセリンがたくさん含まれているため、上質な泡立ちとしっとりした洗い上がりに仕上げます。グリセリンはMPソープや手練石けんのもと(石けん素地)にも多く含まれています。
植物油とアルカリによる化学反応。石鹸はこの反応によって作られます。 ■鹸化価(けんかか) 鹸化価とは1000mgのオイルを石鹸にするのに必要な「苛性カリ」のmg数。苛性ソーダの場合は
■鹸化率(けんかりつ) 植物油とアルカリを混ぜて石鹸を作る時に石鹸になる植物油の分量を指します。通常、鹸化率は100%で計算せず、85〜95%で計算します。 → 鹸化価 ■コールドプロセス(CP)法 苛性ソーダ水溶液と植物油の反応熱を利用した伝統的な石鹸の製法。出来上がりまでに1ヵ月ほどかかります。 ■酸化 植物油や油脂が酸化すると異臭がしたり粘り気が出て劣化します。酸化は光、高温、蓋をきちんと閉めていない事で進んでしまうため、すでに酸化してしまったオイルは処分します。石鹸そのものも酸化すると表面がべたついてくるため、そのようになってしまったものは処分します。 ■ジェル化 CPソープの保温時に高温になり過ぎた場合、鹸化が進んでジェルのような透明状の石鹸になる事があります。ジェル化した石鹸も特に問題はないため使用する事が出来ます。 ■脂肪酸 植物油、油脂の主成分。オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸などの酸で、これらの脂肪酸にアルカリ成分が加わる事で石鹸になります。 ■脂肪酸カリウム 植物油と苛性カリを鹸化させて作った液体ソープ。カリ石鹸、カリウムソープとも。液体なのでハンドソープ、シャンプーソープ、ボディソープとして使いやすい。なかでもオリーブオイルが主成分の良質なものは「カスティルソープ(カスティリア石鹸)」と呼ばれます。 ■脂肪酸ナトリウム 植物油と苛性ソーダを鹸化させて作った固形の石鹸。 ■熟成 カットした後のCP石けんを1ヵ月ほど時間をかけて乾燥させながら風通しのよい涼しい室内に置く事を熟成と呼びます。 ■植物油 石鹸の原材料となるもので植物の種子や果肉から抽出されます。成分は脂肪酸。常温で液体状のものを植物油と呼んでいます。代表的なものにオリーブ油、マカダミア油、ヒマワリ油など。 ■植物油脂 石鹸の原材料となるもので植物の種子や果肉から抽出されます。成分は脂肪酸。常温で固体状のものを植物油脂と呼んでいます。代表的なものにシアバター、カカオバターなど。 ■スーパーファット(過剰油脂) トレースが出て型入れする前に溶かしたシアバターや浸出油などを加える方法。オイルを余分に石けん生地に混ぜ込むため、保湿力の高い石けんに仕上げる事が出来ます。 ■精製水 不純物や添加物を含まない蒸留もしくはろ過された水。石けん作りには欠かせない基材です。 ■ソーダ灰 CPソープの保温がきちんとされていない場合に苛性ソーダが粉状に残り、石鹸上部やカットした表面にふき出す事があります。特に害はありませんが見た目が気になる場合は削り取るようにカットします。ソーダ灰は水で落ちるためそのままでも使用可能です。 手練石けんを作るための白いフレーク状の素地。原材料は苛性ソーダと植物油。固形石鹸を粉砕したものですでに鹸化されているため、どなたでも安全に石鹸作りが楽しめます。石鹸のもとにキャリアオイルや精製水を加えて手で練って形成します。石鹸作り初心者さんや子どもさんに向いています。オプション基材によって色づけ、香りづけ、ハーブ、クレイ入り等のアレンジが出来ます。 ■ディスカウント CPソープ作りで植物油の一部をあえて鹸化させないパーセンテージを表わすもの。鹸化させない事で苛性ソーダによるリスクを減らして肌への安全性を高め、かつ保湿力のある石鹸に仕上げます。ディスカウントは鹸化率を85〜95%程度に抑えて調整します。ただし、ディスカウントが多いと油分が残り過ぎるため通常10%程度にします。 →鹸化価参照 ■手練石けん 手ねり、手ごね石けんとも。石鹸のもとに精製水や植物油その他のオプションを加え、粘土状になった生地を手で練ってお好みの形に成型するものです。苛性ソーダを使いたくない方、石鹸作り初心者さんやお子さん向けに適した安全性の高い手作り石鹸です。 ■トレース CP石けんの生地を泡だて器やブレンダーで混ぜているうちにだんだんと生地が硬くなり、泡だて器で生地の表面に線が描けるようになるのを「トレースが出る」と表現します。トレースが出る前に型入れしてしまうと水溶液と植物油が分離して上手く固まらないことがあります。トレースが出過ぎてしまうとオプションを混ぜにくく、型入れの際に生地を流しにくくなります。植物油の種類や配合量、ブレンダーの使用の有無、気温・湿度等によって思ったほどにトレースが出ない場合や反対にトレースが早く出る場合があります。夏場よりも冬の方がトレースが早まります。 ■偽トレース(ニセトレース) 植物油と苛性ソーダ水溶液を混ぜた際に油脂が凝固してトレースに似た状態になる場合があります。石鹸生地を軽く湯せんにかけてみて簡単に分離する場合は偽トレースです。その場合は生地をよく混ぜ合わせるようにします。 ■廃油石けん 天ぷら油などの家庭で処分される使用済みのオイルを使って作る固形の石鹸。モッタイナイ精神でエコロジーのために作られる事が多く、食器洗い用などに再利用されます。 ■バッチ 一括を意味する英語「batch」。CP石鹸で使用する材料の1回分の「オイルの総量」を言います。500gならば500gバッチと表現します。石鹸作りの本には1回分250g〜500gバッチでレシピが掲載されているものが多く、作りやすい量と言えます。 ■リバッチ 余った石けん、失敗した石けん、石けんの切れ端などを新しい石けんにリメイクする事をリバッチと言います。固形石けんをピーラーやおろし金で細かくして精製水を混ぜて練り直し、型入れして乾燥させます。リバッチの際に新たにオプションを加える事も出来ます。リバッチ石けんは見た目はあまりよくありませんが無駄なく石けんを使いきるエコな方法です。 ■pH試験紙 理科の実験で使用した酸性〜アルカリ性を測る試験紙。出来上がった手作り石けんに少量水をつけて泡立て、そこに試験紙を浸します。石けんのアルカリが強すぎると皮膚刺激となるため使用前にテストしてから使います。文具店、ネットショップ等で入手出来ます。 ■パッチテスト 出来上がった石けんの皮膚刺激性の有無を試す方法。石けんに少量の水をつけて泡立て、手の甲などに付けて水道水で洗い流します。この時、皮膚が赤くなる、かぶれる、ピリピリするなどの異常を感じたらその石けんは使用せず、リバッチして使うか新聞紙などに包んで処分します。 ■ブレンダー ハンドミキサー、電動ブレンダー。CPソープの生地を撹拌するのに泡だて器と併用するスティックタイプの電気式ブレンダー。トレースが早く出やすく、時間短縮になるため、あると便利な道具です。石鹸専用のものはないため、料理用のブレンダーを石鹸作り専用にあつらえます。 ■フレグランスオイル(FO) フレグラントオイルとも呼ばれ、石鹸に香りを付けるために人工的に作られた合成の香料です。 ■マーブル アースピグメント、クレイ、食紅などを使って石けんにマーブル(大理石)模様をつけるものです。CPソープ、MPソープ、手練石けんのいずれにも出来ますが、特にCP、MPは美しい仕上がりになります。手作り石鹸の上級テクニックのひとつです。 ■モールド(型) 石けん作りに使う型。家庭にあるものでは牛乳やヨーグルトの空パック、プリンの空容器、円筒形のポテトチップスの外箱、お菓子用のシリコンモールドなどが使用出来ます。専用の型としてはCP石鹸専用のアクリルモールドやMPソープ専用のお花や貝殻などの型があります。専用型はネットショップなどで入手出来ます。※鉄、銅、テフロン加工、アルミニウムなどは変質の可能性があるためアクリル、プラスチック、シリコンなどの製品を使用します。 ■モザイク 石鹸生地にあらかじめ作っておいて小さくカットした石鹸を入れ込むことで仕上がりに模様が出るようにする方法です。CPソープやMPソープで使われる上級テクニックのひとつです。小さな石鹸フレークによる模様はコンフェと呼ばれます。 ■レイヤー 石鹸生地の色を2層や3層などに分けて流し込むテクニック。CPソープやMPソープで使用されます。色をくっきり分ける「くっきりレイヤー」と少し混じり合った「ルーズレイヤー」などの上級テクニックがあります。
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