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アンフルラージュ(冷浸法)精油の知識
かつてのヨーロッパで伝統的に行われてきた精油抽出法のひとつがアンフルラージュです。アンフルラージュは冷浸法(れいしんほう)とも呼ばれ、主に花弁の芳香成分を抽出するために行われてきた製法です。アンフルラージュの精油は今ではもうほとんど生産されていないので、アロマセラピー関係者でもその香りを嗅いだことのない方が多いのかもしれません。私自身もアロマセラピスト、アロマセラピー講師として20年近くこの世界に携わってきましたが、2017年に初めてアンフルラージュ精油の香りを嗅ぐことが出来ました。 アンフルラージュの歴史 アンフルラージュは古代エジプトの時代から花々から香油を抽出するために行われてきた製法です。芳香成分は油脂類に溶解するため、油脂に花弁の香りを吸収させるという単純な原理に基づいています。19世紀から20世紀初めにかけて、ラードやヘットの獣脂が使用されるようになりました。上記画像のような木枠に油脂を薄く敷き、そのうえに積んだばかりの花弁を置いてガラス板をかぶせて花の芳香を油脂に吸着させます。このガラス板付きの木枠は「シャーシー」と呼ばれています。およそ24時間〜48時間で花のエッセンシャルオイルは油脂に吸着されます。その後に花弁を取り除き、再び新しい花弁と交換します。このプロセスを何度か繰り返して花の芳香が十分に吸着されたものは「ポマード(pomade)」と呼ばれます。 ポマードはさらにアルコールで溶解されると芳香成分は油脂からアルコールに移されます。芳香成分が移されたアルコールを揮発させると花の純粋な芳香成分が残ります。これがアンフルラージュ精油です。 動物脂を用いない植物油によるアンフルラージュ精油 かつての伝統的なアンフルラージュ精油の抽出にはラードやヘットなどの動物の脂が使用されていました。動物の油脂を使用したものは動物の命の犠牲を好まない人たちやヴィーガンベジタリアンあるいは宗教上の禁忌のある人には使えないケースがあります。ところが近年では植物油脂によるアンフルラージュが行われています。当ショップでは植物由来のアルコールと植物油脂による抽出のアンルフラージュをアーティザンというアメリカの小さな精油メーカーから取り寄せています。アーティザンは南米の小さな花農家を介して得られた希少なアンフルラージュを大切に販売しています。(ライラックのアンフルラージュはニューヨーク州の農家で作られています)すべて動物脂は使わずに有機栽培のパームオイルとココナツオイルそして同じく有機栽培のサトウキビ由来のピュアナチュラルのアルコールによって抽出されたアンフルラージュ精油です。このページをご覧になり、植物油抽出のアンフルラージュ精油にご興味を感じられたのでしたら、ぜひ一度手に取ってその香りを嗅いでみてください。それは素晴らしい他に比べるもののない至上の芳香です。 ※パトリック=ジュースキントの小説「香水」にはアンルフラージュの精油の抽出工程が魅惑的な表現で書かれています。本サイト内の『小説「香水」とアンフルラージュ(冷浸法)精油』のページをご覧ください。 アンフルラージュ精油の使い方 アンフルラージュ精油は低温になると固化するため、瓶を手で温めて使用します。手間のかかる抽出法であることと、アンフルラージュで抽出される種類が花精油である事から、すべてのアンフルラージュ精油は他精油に比べて格別に高価です。貴重な精油であるため、以下のような使い方がすすめられます。 アンフルラージュ精油を試香されたい場合は ミセス・ヒロコ・アロマショップの月に1回のショップデーにお越しいただければ香りを嗅いでいただくことが出来ます。高価な精油のためお渡し出来るサンプルのご用意はメーカー側にもございません。お使いになってみたいと思われる方はアメリカからのお取り寄せで10種類のアンフルラージュ精油の試香キットをご用意しています。キットはバイアル瓶という小さな透明ガラス瓶に各5滴ずつ入っています。あまりの少なさに(たった、これだけ‥)と思われるかもしれませんがそれくらい貴重なものだとご理解いただけますと幸いです。
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