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精油とハーブのプロフィール事典《オリス(イリス、アイリス)Orris 》
英名:Orris オリス植物画:Wikipedia
オリスは、イリス、アイリスとも呼ばれるアヤメ科の多年草の根を乾燥させたもので、一般に「オリスルート」(オリス根)と呼ばれています。イリスの原産国は主に北半球の温帯地域(ヨーロッパ、地中海沿岸、東アジア)で、世界に250種以上あり、それらのなかで香料としてよく知られているのはイリス・パリダ、イリス・フロレンチナ、イリス・ゲルマニカなどです。気品ある花姿の美しさから王族や貴族のシンボルとして愛されてきました。属名の「Iris 」はギリシャ神話の恋を司る虹の女神アイリスに由来しています。その由来のように花は虹の色をまとうと言われ、初夏に淡紫色〜紫色の花を咲かせます。花には甘い香りがありますが香料として用いられるのは乾燥根で花とは異なる香りがします。根は夏の終わりに掘り出され、皮を剥かれて乾燥、貯蔵されます。掘り出したばかりの根には芳香はなく、香りが出るまでに1年かかり、さらに低温で2〜5年の乾燥期間が必要です。年月が経つにつれて香りは熟成し、粉っぽく、柔らかで温かみのある清楚な香りになります。根を粉末状に挽くことで芳香はさらに強くなります。オリスに含まれる芳香成分の「イロン」はスミレの芳香成分にも含まれるイオノン類であることから「スミレのような香り」と形容され「バイオレットルート」の呼び名があります。ビクトリア朝時代から化粧品やパウダーの香料として使われ「クイーン・エリザベス・ルート」とも呼ばれ、多くの人にとってこの香りは化粧用パウダーを連想させます。根はモロッコ料理に使われるミックスハーブ「ラス・エル・ハヌート」の材料の一つとしてよく知られており、その他にもジンの香り付けや嗅ぎタバコのフレーバーとして使われています。かつての伝統療法では下剤や利尿剤として利用された歴史がありますが現代においては香水作りやポプリやサシェバッグの保留材、薫香材などに利用されています。特にポプリ作りではどの素材とも相性が良く、香りを長時間保たせるためポプリ愛好家には欠かせない材料のひとつです。オリスの根を水蒸気蒸留するとオリスバター(オリスオイル)と呼ばれる常温で固体の淡黄色の芳香性物質がごく少量(全体の 0.1 〜 0.2 %)抽出されます。成分の約85%はミリスチン酸、その他はイロン、ミリスチン酸メチル、オレイン酸、エステルなどです。イロンには刺激臭があり、花の香りとは異なり、アルコールで希釈、蒸発させるとスミレ様の香りが出てきます。抽出までに手間のかかるこの香料は全香料中最も高価なものの一つで、歴史のなかで金と取引されたこともあるほどです。そのため、流通品の多くは10%程度のキャリアオイルに希釈されています。1970年代に誕生したシャネルの香水「N° 19」は、イリスオイルが中心のグリーンフローラルとパウダリーの香りです。このシリーズはシャネル香水史上の最高傑作と呼ばれています。希少なイリス精油は古代から現代まで高級化粧品を中心に用いられ、特にパフューマーたちの間で珍重されてきました。現在、イリスの精油の芳香成分であるイロンは合成香料が作られていますが、やはり天然のイロンとは本質的に異なります。イリスの精油はアロマセラピーで使用されることはなく、主に天然香水などに用いられています。
オリスの根は古来より女神ヴィーナスや月のエネルギーに関連付けられ、愛の引き寄せやロマンスのために焚かれてきました。ギリシャ神話の女神イリスは死にゆく人々を虹の向こうにある永遠の平和の地へと導くとされ、死出の旅路が安らかであることを願ってオリスの香が焚かれました。フードゥー・マジックでは恋愛の呪いとして粉末状の根を自分や相手に振りかけます。オリス根の香煙はサードアイを刺激して直感力と洞察力を高めると考えられており、占いやリーディングの前後に用いられてきました。夢の探求、アストラルトラベル、スピリチュアルなワークに用いると地に足をつかせて、心に平和と静けさをもたらします。 インセンスの使用部位:根
◆薫香材、お香に ◆手作りインセンスに
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