英名:Orris
学名:Iris pallida (イリス・パリダ)
和名:ニオイアヤメ
科名:アヤメ科
種類:多年草
草丈:約50〜60m
原産地:地中海地方
香りのノート:ベース
香りのイメージ:(根)菫に似た香り
精油成分:(根)
メチルドデカノイック酸
メチルテトラデカノイックアシッド
ヴィニルフェノール
イソオイゲノール
イロン
オリス植物画:Wikipedia
オリスはイリス、アイリスとも呼ばれるアヤメ科の植物です。イリスはギリシャ神話の恋を司る虹の女神の名前に由来しています。初夏に白紫〜紫色の甘い芳香のする花を咲かせます。淡い虹のようなラベンダー色のオリスの花はフランス王室を代表する地中海文化の象徴です。オリスの種類は210種以上あり、香料としてはIris pallida(イリス・パリダ)、Iris florentina(イリス・フロレンチナ)、Iris germanica(イリス・ゲルマニカ)などが知られています。そのなかで特にパリダと呼ばれる種類は最高品質の香料です。オリスは花だけではなく根茎にも芳香があり、根は古代ギリシャの時代から香料に用いられてきました。
オリスから抽出される精油はイリスもしくはアイリスとしてパフューマーの間で知られています。抽出までに手間のかかるイリスルートから採れる精油は全香料中最も高価です。歴史のなかでは金と取引されたこともあるほどで精油の抽出効率は大変低く、わずかにしか採油出来ません。たいていは10%程度のキャリアオイルに希釈されています。1970年代に誕生したシャネルの香水「N° 19」はイリス・アブソリュート精油が中心のグリーンフローラルとパウダリーの香りです。このシリーズはシャネル香水史上の最高傑作と呼ばれています。希少なイリス精油は高級化粧品を中心に古代から現代まで用いられ、気品ある花姿の美しさから王族や貴族のシンボルとして愛されてきました。香料だけではなく薬用として頭痛や吹き出物にも使われてきました。実際にイリス精油には抗酸化作用やメラニン生成の抑制作用があり、ヘアケアや美白の目的などに用いられてきました。(参考:カネボウ化粧品Web)イリスの精油の芳香成分であるイロンは今では合成香料が作られていますが、やはり天然のイロンとは本質的に異なります。現在、イリス精油はアロマセラピー目的で使用されることはあまりなく、主に天然香水などに用いられます。
★オリスルート★
オリスの根は2〜3年低温で熟成させながら乾燥させると菫のような香りが次第に出てきます。それを砕いて粒状やパウダー状にしたものがオリスルートとしてポプリの保留剤に使われます。ポプリに使用するとどの素材とも相性が良く、香りを長時間保たせるためポプリ愛好家にとって欠かせない香料のひとつです。
※オリスルートはドライハーブの類ではありますが一般的なハーブティーや料理には使用せず、海外ではジンなどのお酒の香りづけに利用されています。国内でのオリスルートの大半はハーブクラフト材料、ポプリ材料として使われています。
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