|
精油とハーブのプロフィール事典《シアバターノキ Shea Butter Tree》
英名:Shea Butter Tree シアバターノキ(シアの木) は、西アフリカを原産とするアカテツ科の常緑小高木です。学名は「Vitellaria paradoxa」で、異名(シノニム)は「Butyrospermum parkii」です。シアバターの木にはいくつかのローカル名があり、セネガルでは「カリテ」、ナイジェリアでは「エミエミ」の名前で呼ばれています。西アフリカから中央アフリカの標高500〜1500mの乾燥したサバンナ地域に生育し、木の高さは20mにも成長します。12月から4月にかけて黄色ががったクリーム色の花を咲かせ、開花から約150日で卵型の果実がなります。果実は動物や鳥などによって摂食され種子は広範囲に運ばれます。有用部分は種子、葉、小枝、根の樹皮などで果実は4〜8 cmで食用になる果肉部と1〜2個の油性の穀粒からなります。果肉中の種子は「シアナッツ」、種子中の胚部分は「シアカーネル」と呼ばれ、これがシアバターと呼ばれる植物脂の原料になります。人工的な栽培では育たないシアバターの木は最初の実がなるまで20年かかり、その後は3年に一度実を付けます。木の寿命は200年と長く、現地では「若返りの木」「神聖な木」として大切にされてきました。現地では昔からこの木に触れることが出来るのは女性だけで、果実の取入れから圧搾、運搬、販売に至るまで、すべて女性たちによって行われています。経済的に豊かではないシアバターの産地に暮らす女性たちの自立と、その子供たちへの支援のためにフェアトレードでシアバターを取引し、製品化している有名化粧品メーカーもあります。その他にも基材としてフェアトレードでシアバターの提供を行う良心的な小メーカーがあります。現在の主要生産国はナイジェリア、ガーナ、マリ、ブルキナファソなどで、シアバターの生産は現地での(特に女性たちの)安定した仕事と貴重な収入源につながっています。シアバターを作る工程の多くは手作業で行われています。果実を天日乾燥させた後に粉砕して殻と種子に分け、その種子を潰してペースト状にします。温めたペーストをろ過して冷ましたものがシアバターになります。植物脂であるシアバターは常温で半固形のクリーム状で、そのまま使用しても肌馴染みが良く、近年のオーガニックコスメの流行とともに広く知られるようになりました。原産地では昔から乾燥肌の保湿、火傷や関節炎などの炎症および痛みケアなどに使われてきました。オレイン酸、ステアリン酸が主成分で、その他にトリテルペンアルコール、トコフェロール(ビタミンE)、ビタミンA、ビタミンF、カロチノイド(天然色素)が含まれています。成分中のラテックスは肌の弾力性を高め、穏やかな紫外線防御剤となります。アロマセラピー基材としても大変注目されており、練り香、リップ、スキンケア・ヘアケアクリーム、ネイルケア、マッサージキャンドルなどに利用されています。シア脂は安全性が高く、胎脂に似ていることからベビーケアの基材として助産師にも注目されています。食用にもなる油脂なので、ピュアナチュラルのシアバターであれば万が一口に入っても問題はありません。アフリカでは伝統的に生後間もない赤ちゃんの肌に塗布してベビーマッサージを行ったり、へその緒のケアに利用されてきました。市販されているシアバターには白色の精製タイプとクリーム色の未精製タイプがあり、未精製はシアバター特有の甘い匂いがします。どちらもそのままの状態で体温で溶けますが、キャリアオイルなどを加えてより滑らかな基材として使用することもあります。シアバターは飽和脂肪酸のステアリン酸と不飽和脂肪酸のオレイン酸で構成され、酸化しにくく安定性があります。精製タイプは皮膚のラップ作用で皮膚表面を保護し、塗布後はしっとりとした質感です。未精製タイプは皮膚浸透性に優れ、肌に後残りせず、肌の弾力性を高めます。精製タイプは生産の工程で有用成分であるトコフェロール、トリテンペンアルコール、カロチノイドなどの微量成分がある程度取り除かれてしまうため、シアバター本来の香りと成分を楽しみたい場合は未精製を選択します。融点は未精製シアバターで35〜37℃、精製シアバターの融点はやや高く、37〜39℃です。どちらも保存は冷暗所で1年程度です。 《シアバター》基材のプロフィール アロマセラピー基材としてのシアバターは練り香、クリーム、リップ、マッサージキャンドルなどの材料に使います。 基材の成分:ステアリン酸(40%)、オレイン酸(40%)、トリテルペンアルコール、トコフェロール、カロチノイド 一般的な基材に期待される作用:保湿、瘢痕形成、抗炎症、穏やかな紫外線吸収、紫外線保護 匂い:未精製は甘いシアバターの香り 《シアバター》基材の使い方 ◆手作りリップクリームに
|
2012-2024 Copyright (C) Holistic Aroma Academy, all rights reserved.
|