|
精油とハーブのプロフィール事典《グレープ(グレープシード) Grape》
英名:Grape、Vine ヨーロッパブドウは西アジア原産のつる生の落葉低木です。近くにある木につるを伸ばして成長し、つるの長さは30mにもなります。掌状に裂ける葉を付け、初夏に5弁の黄緑色の小さな花を咲かせます。葡萄のつるの絡み合う様子は日本でもよく知られる「唐草模様」のモチーフで、その起源は古代ギリシャだとされています。生命力や繁栄を象徴する植物文様として広く使われています。属名のVitis は、ぶどうの木(vine)を、種小名のviniferaは「ワインを生じる」というラテン語に由来し、ワインの歴史と密接な関わりを持つ植物です。現在、葡萄の品種は数多くありますが、ワインの原料になる品種はヨーロッパに自生する唯一の種(Vitis vinifera)で、世界最古の栽培種です。栽培種は乾燥したアルカリ性の土壌でよく育ち、野生種の葡萄は森林や渓流などに自生しています。ベリー(漿果)と呼ばれる果実は野生種で直径約6 mm、熟すと暗紫色になります。栽培種の果実は野生種よりも大きく、色も緑、赤、紫などがあります。葡萄の木は非常に古い歴史を持ち、原種は300万年前から地上に存在していたとされます。紀元前8000年頃のシリアの遺跡からも発見されており、古代メソポタミア文明のシュメール人の楔文字にも葡萄の記述が残されています。紀元前3000年前のカスピ海沿岸では栽培が行われ「ギルガメッシュ叙事詩」にも記されています。古代エジプト、古代ギリシャの時代に葡萄の栽培法や酵母によって糖分をアルコールにするワインの製法、加工保存食の製法などが伝わり、ヨーロッパ全土に広がっていきます。初期のワイン製造や保存には取っ手のついた「アンフォラ」という素焼きの壺が使われていました。果実として生食するだけではなく、葡萄酒や干し葡萄などに加工できる葡萄は当時から今に至るまで生活に欠かせない食物として大切にされてきました。 水の少ない地域でのワインは水代わりであり、気付け薬や疲労回復、食欲増進の薬酒としても飲用されてきました。中世ヨーロッパのキリスト教におけるワインは「キリストの血」として神聖化され、修道院では盛んに葡萄が栽培されました。その後の大航海時代によってヨーロッパ種は世界中へ渡り、現代に続く葡萄栽培が広がりました。ブドウの木は他の土地に植樹しても同じような実をつけないため、その土地にあった栽培技術が必要です。現在ではアメリカ、オーストラリア、チリ、日本などで優良な葡萄の栽培が行われています。グレープシードオイルは、ヨーロッパ種の葡萄の種子を高温圧搾して得られるオイルです。ワインの製造によって残された葡萄の種子を洗浄、乾燥、粉砕し、加熱圧搾してオイルを取り出します。グレープシードオイルはフランスのナポレオンの時代に初めて生産されました。食糧難であったその時代には食用の他に灯油としても利用されていました。種子中のオイル分は約10%でその他にビタミン類や抗酸化物質が含まれています。オイル中にコレステロールは含まれず、現在でも良質な食用油として利用されています。無味無色でくせがないのでサラダから加熱調理まで広く利用出来ます。(リノール酸が70%含まれているため過剰摂取に注意します)医療研究では、グレープシードオイルに含まれるプロアントシアニジン成分が、がん抑制に期待できると考えられています。低アレルギーで無毒であるため、化粧用としてもスキンクリームなどに利用されています。 《グレープシードオイル》基材のプロフィール キャリアオイルとしてのグレープシードオイルはビタミンEを含む軽い質感のオイルとして利用されています。トリートメントオイルとして使われるオイルのなかでは最もさらりとしています。粘性はなく、皮膚の表面を油っぽくせずに薄い被膜で皮膚を保護します。トリートメントオイル、ヘアオイル、ベビーマッサージなどに利用出来ます。夏場のトリートメントや油っぽくないオイルを好む人に向いています。オイルに匂いや色は無く、くせがないため精油の香りを引き立てます。多価不飽和脂肪酸が多く含まれていますが成分中のビタミンEが酸化防止の働きをするため、酸化は他のキャリアオイルに比べてやや早いものの、必須脂肪酸を含むオイルよりは長持ちします。 基材の成分:リノール酸(70%)、オレイン酸(12〜20%)、パルミチン酸(5〜11%)、ステアリン酸(3〜6%)、ビタミンE 一般的な基材に期待される作用:保湿、皮膚軟化、皮膚の保護 匂い:無し 《グレープシードオイル》基材の使い方 ◆トリートメントオイルに
|
2012-2024 Copyright (C) Holistic Aroma Academy, all rights reserved.
|