英名：Argan Tree
学名：Argania spinosa（アルガニア・スピノサ）
和名：アルガンノキ
科名：アカテツ科
種類：常緑低木
樹高：約8〜10ｍ
原産地：アフリカ大陸北西部

　　　　　アルガン植物画：Wikipedia

アルガンはアフリカ大陸北西部に自生するアカテツ科の常緑低木です。学名は一般的に「Argania spinosa」で記述されていますが正式には「Sideroxylon spinosum」です。アルガンとはシルハ語のアルガンの木とその種子油を意味する言葉で、種子を圧搾して得られる油は「アルガンオイル」として古くから利用され、中世にアラビア語で書かれた薬学書にも記述されています。北アフリカ地域に古くから住むベルベル人たちは焙煎した種子から抽出した食用のオイルをクスクスやサラダ、ナッツ菓子などに、未焙煎の種子から抽出したオイルをスキンケアや火傷、皮膚病の塗布薬に利用してきました。焙煎オイルはゴマ油のような香ばしい香りが、未焙煎オイルはごく軽いナッツ様の香りがします。キャリアオイルには未焙煎のオイルを使います。高さ10ｍほどに成長する木の樹皮には凸凹や棘があり、５〜６月に黄緑色の両性花を咲かせます。果実は６〜７月に熟して収穫されます。地面に落ちた黒色の果実は2〜4cm、直径1.5〜3cmで種子は果実中に１〜３つ含まれています。モロッコ南部からサハラなどの高温、乾燥した地域に自生し、干ばつへの耐性が強い植物です。干ばつの時期には自ら葉を落として土中に根を深く伸ばします。生命力が強く現地では「鉄の木」と呼ばれ、樹齢は非常に長く200年以上のものも見られます。現地で家畜として飼われているヤギはこの果実を好み、木に登って未熟な果実を食べます。熟した果実が地面に落ちる頃になるとヤギは自生地域に入ることが出来ず、果実の収穫は村人たちの間で厳密に分配されます。アルガンオイルは近年の美容業界での注目とともに需要が拡大しているオイルの一つです。未焙煎のオイルの色はクリアな淡黄色で絹のように滑らかな手触りです。未焙煎オイルには天然由来の沈殿物が見られることがあります。モロッコの伝統製法では果肉を取り除いて焙煎した種子から油を抽出するのに石臼を使ってペースト状にし、さらにそのペーストを手搾りしてオイルを取り出します。現在の商業的な圧搾では粉砕、乾燥した種子から機械を用いて抽出されています。100kgの果実からわずか1リットルのオイルしか採れない収油率の低いオイルで、抽出に手間がかかるため価格は常に高めです。アルガンオイルの成分の大半は不飽和脂肪酸でオリーブ油よりも抗酸化作用が高く、現地では高級オイルとして知られてきました。アルガンオイルの適切な購入はアフリカのフェアトレード製品のシアバターのように、モロッコでアルガンオイルに携わる女性たちの自立支援につながっています。
 

《アルガンオイル》基材のプロフィール

モロッコで伝統的に使われてきたアルガンオイルは近年、オーガニックコスメやアロマセラピー界で大変注目されるようになりました。テクスチャー、価格ともにリッチなスキンケアオイルとして人気を集めています。オレイン酸とリノール酸が成分の大半を占めており、肌を滑らかにして皮膚バリアを高めます。抗酸化作用のあるビタミンEはオリーブオイルの2〜3倍含まれており、特に乾燥肌や加齢肌に適しています。閉経後の女性の皮膚の弾力性を高め、穏やかな紫外線の防止を行うオイルとして特にセラムやフェイシャルケアでの定評があります。

基材の使用部位：種子

抽出：圧搾法

基材の成分：オレイン酸（44％）、リノール酸（31%）、パルミチン酸（12%）、ステアリン酸（5%）、リノレン酸（0.1％）、ミリスチン酸（0.1％）微量成分（カロテン、トコフェロール、キサントフィル、トリテルペンアルコール、フィトステロールなど）

一般的な基材に期待される作用：保湿、皮膚軟化、皮膚の保護、皮膚蘇生、穏やかな紫外線防止、抗炎症、抗酸化

匂い：ごく軽いナッツ様

禁忌：ナッツアレルギーのある人は使用を避けてください。
 

《アルガンオイル》基材の使い方

◆乾燥肌、加齢肌のトリートメントオイルに
　一般的なキャリアオイルとアルガンオイルを8：2の割合でブレンドし、精油を加えて皮膚に塗布やマッサージを行います。

◆乾燥肌、加齢肌のフェイシャルケア、ブースターに
　洗顔後に少量を手に取り、肌に塗り伸ばします。

◆美容液に
　アルガンオイルに一般的なキャリアオイル、月見草オイル、ローズヒップ、ボリジオイル、ビタミンE、精油などをブレンドしてセラムを作ります。