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精油とハーブのプロフィール事典《オリーブ Olive》
英名:Olive オリーブは地中海沿岸地方を原産とするモクセイ科の常緑小高木です。野生種は有史以前から自生しており、5千年〜6千年前にはすでに栽培されていた有用植物です。オリーブはフェニキア人たちの航海と交易によって近隣国へ広がり、ギリシャ人やローマ人たちによって栽培が広まりました。太陽の降り注ぐ温暖で水はけの良い土地でよく育つことからスペインやイタリアでも栽培されるようになり、大航海時代のコロンブスによって新大陸に伝えられていきました。現在では南米、オーストラリア、インドなどでも広く栽培されています。オリーブの品種は1500を超えるほど多く、時には1000年以上の樹齢を持つ生命力の非常に強い樹です。神からの贈り物、生命の樹、神聖な木として信仰の対象となり、エジプトやギリシャの神話にも記されています。太陽信仰であった古代エジプトでは「太陽の樹」としてイシス女神のシンボルとされてきました。旧約聖書では、ノアが二度目に放った鳩がオリーブの葉をくわえて戻ったことから洪水の終わりを知ります。このオリーブの葉を鳩がくわえているモチーフは現在でも平和や希望の象徴となっています。オリーブの花言葉は「平和」、その他にも勝利の女神アテーナーの象徴から「勝利」や「英知」の意味もあります。オリーブの樹はギリシャ、イスラエル、ポルトガルの国樹であり、金貨、銀貨、米ドル紙幣、国連旗などのモチーフにもなり、多くの絵画にも描かれてきました。宗教にも関わり深く、キリスト、ユダヤ、イスラム教では戴冠式や儀式的なオイル塗布である「聖油(アノイント)」のオイルとして使われてきました。オリーブほど人類の歴史と文化、産業に密接に関わる重要な植物はありません。日本に渡来したのは安土・桃山時代で、キリスト教神父によって持ち込まれました。当時の蘭方医たちはオリーブの実を搾った高価な舶来オイルを治療に用いました。その後日本でも栽培研究が行われ、現在では香川県の小豆島がオリーブの特産地として知られています。オリーブ植物の有用部分は主に果実(実)と葉です。つやのある銀緑色の細長い葉に約0.3%含まれる特有の苦味成分「オレユーロペン(オレウロペイン)」には強力な抗菌・抗ウイルス作用があります。この成分はオリーブ植物が自らを病害虫から守る他に天然の抗生物質としてインフルエンザ、ヘルペスなどに用いられています。葉を乾燥させたものは血圧、血中コレステロール値、血糖値を下げる作用があり、やや苦味のあるティーとして飲まれています。葉から抽出したエキスには免疫と関わるマクロファージや好中球を活性させる働きがあります。歴史のなかでは葉を粉末にしたものはマラリアの解熱剤に使われてきました。オリーブにはオリーブアナアキゾウムシやカミキリムシなどの虫がつきやすいため多くの場合、実を収穫するために農薬が使われています。葉をティーとして飲むには農薬が使われていないものを選びます。オリーブは初夏に開花するクリーム色の小さな花の後に楕円形の実がなります。実は生で食べると苦味があります。実のなり始めは「オリーブグリーン」と呼ばれる明るい緑色、熟すにつれて黄色〜赤紫〜黒紫色に変化します。熟すと果肉は柔らかくなり、採油量が増えます。ポリフェノールが多く含まれるのは緑色〜黄色のものでフルーティな果実として塩漬けされ、ピザなどの料理やマティー二のカクテルなどに使われています。黒紫色の果肉から一番搾りで得られるオイルは「エクストラバージン」と呼ばれる緑がかった黄金色の最上級のオリーブオイルです。マイルドな味はイタリアやスペイン料理には欠かせない食用油です。食用オリーブオイルを少量飲むと便秘に効果があります。人によってはオリーブオイルを摂取すると腹痛を起こす場合があります。オリーブオイルには豊富なオレイン酸が含まれ、食用以外にも化粧用として外用されてきました。肌や髪の美容オイルの他、妊娠線の予防、火傷、虫刺されなどのケアに利用されてきました。シャンプーや石鹸などにも広く商業利用され、フランス王室が認定した「王家の石鹸」として知られる有名な「マルセイユ石鹸」の材料にはオリーブオイルのみが使われています。 《オリーブリーフ》ドライハーブのプロフィール ハーブの使用部位:葉 ハーブの成分:フラボノイド配糖体(ルチン、ヘスペリジンなど)、フラボノイド(ルテオリンなど)、ポリフェノール(オレユーロペン)、ビタミンE 一般的なハーブに期待される作用:抗酸化、利尿、抗菌、抗ウイルス、免疫賦活 ハーブティーブレンド:ジャーマンカモミール、エルダーフラワー ※苦味が気になる場合は蜂蜜を加えます。 ハーブティーの浸出時間:5分 ハーブティーの味:特有の苦味と渋み。 《オリーブリーフ》ドライハーブの使い方 ◆インフルエンザ、風邪の予防、ケアに ◆成人病の予防、健康習慣に 《オリーブオイル》基材のプロフィール オリーブオイルはアロマセラピーやハーブセラピーの伝統的な基材として最も古くから利用されてきました。種子を取り除いた果肉から搾られたオイルはその後に遠心分離器にかけられ、ろ過されます。これが「バージンオイル」と呼ばれるオイルで、一番最初に絞られたものは「エクストラバージンオイル」と呼ばれています。オイルは緑色〜黄金色で天然植物色素のクロロフィルが含まれています。低温になると固化する性質があります。食用のオリーブオイルを化粧用に使うことは(自己責任の限りで)不可ではありませんが、良質なエクストラバージンオイルに限ります。化学的に精製された低品質の食用オリーブオイルを肌に塗るのはすすめられません。良質のオイルは民間療法で筋肉痛や関節炎などの痛みケアに用いられ、ハーブの浸出油作りにも役立ちます。潤いを与える美容オイルとして肌、髪、爪など全身に使うことが出来、肌を紫外線から保護する働きがあります。 基材の成分:オレイン酸(50〜80%)、リノール酸(10%)、α-リノレン酸(0.7%) 一般的な基材に期待される作用:保湿、皮膚軟化、皮膚の保護、抗炎症 匂い:フルーティさのある特有の匂い 《オリーブオイル》基材の使い方 ◆ボディ、フェイシャルのトリートメントオイルに
オリーブスクワランはオリーブ油を蒸留して得られる「スクワレン」という物質に人工的に水素添加した無色無臭のオイルで厳密には油脂とは異なる炭化水素化合物です。スクワレンはわずかに人の皮脂にも含まれているため、皮膚に馴染みやすい利点があります。スクワランには「鮫スクワラン」もありますが、オリーブスクワランも鮫スクワランも化学構造的にはオイルではなく「炭化水素」の分類になります。スクワレンの状態だと成分的に不安定なため、水素を添加することで保存性を高めてあります。オリーブスクワランは鮫スクワランほどサラっとした質感ではなく、しっとりとしています。スクワランにはワセリンと同じように肌をラップする働きがあります。肌、髪、爪などの全身に使用でき、皮膚を保護します。すべての肌質に利用出来、安定性が高く、アレルギーが起きにくいオイルです。低温でも凝固せず、酸化しにくく日持ちがします。 基材の成分:炭化水素化合物 一般的な基材に期待される作用:保湿、皮膚軟化、皮膚の保護 匂い:無し 《オリーブスクワラン》基材の使い方 ◆ヘアケア、ネイルケアに
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