|
精油とハーブのプロフィール事典《ユズ(柚子)Yuzu》
![]() 英名:Yuzu ![]() ユズはミカン科の常緑小高木です。「ホンユズ」、「ユノス」とも呼ばれています。ユズと呼ばれるもののなかで「花柚」(はなゆ)は花の芳香が強い柚子の近縁種で「柚香、柚柑」(ゆこう)と呼ばれるユズは自然交配によって出来た変種です。果皮の厚い「獅子柚子、鬼柚子」は実際にはユズではなく、ザボンやブンタンの仲間です。原産地は中国の揚子江上流で1200年以上の歴史があります。日本には平安時代に伝来し、現在では日本で最も多く栽培されています。特に高知県、徳島県、愛媛県はユズの名産地として知られ、寒暖差の大きい山間部の地形によって香りの良い果実が穫れます。韓国もユズの生産地として知られ、黄ユズの果皮を砂糖で煮詰めた「柚子茶」は冬の定番ティーになっています。種小名の「junos」は、柚子の古名「柚之酸」(ゆのす)に由来しています。ユズの木は高さ4mほどの小高木で初夏に香りの良い白い5弁の花を咲かせます。枝には長く鋭い棘があり、晩秋から冬にかけて、でこぼこした厚い果皮の果実がなります。ユズの木は病気になりにくく、消毒が要らないため無農薬で栽培されることが多いのが特徴です。実生(みしょう、種から育てる)のユズの木の成長は非常に遅く、実がなるまでに15年〜18年ほどかかります。カラタチなどの柑橘樹に接ぎ木して育てると数年で実がつきますが香りは薄れます。果実は直径4〜8cmほどで種子が多く、クエン酸やビタミンC、ペクチンなどを豊富に含んでいます。夏に収穫される青い未熟果は「青ユズ」、秋に穫れる黄色い熟果は「黄ユズ」と呼ばれ、酸味が強いため果実そのものは食用になりません。果皮は料理の風味付けやジャムなどに利用され、果汁はポン酢、カクテル、ジュースなどに加工されています。果汁にはクエン酸、酒石酸、シトラールなどが含まれ、コレラ菌や腸チフス菌への制菌作用が報告されています。ユズに含まれる成分には抗酸化作用があり、感染予防や血圧の降下、疲労回復、血流の改善などに役立ちます。日本には江戸時代から冬至の日に銭湯の湯船に柚子の実を浮かべて香りを楽しむ「ゆず湯」に入る風習がありました。ゆず湯の芳香にはリラクゼーションの作用があり、邪気を祓うとともに血行促進するので風邪予防に良いとされてきました。民間療法では、果実は「橙子」(とうし)、果皮は「橙子皮」(とうしひ)と呼ばれ乾燥させた果実を煎じて飲んだり、ユズ酒にして風邪の予防や疲労回復、冷え性、食中毒、吐き気などに用いてきました。ユズの果皮からは水蒸気蒸留法もしくは冷圧搾法で爽やかな香りのユズ精油が抽出されます。代表的な和精油のひとつとして近年のアロマセラピーで人気が高まっています。ユズ独特の香気は海外でも好まれ、天然香水などに用いられる他に料理の世界でも高く評価されています。精油の主成分はリモネンで、気分を高揚させてストレスを和らげます。芳香浴によって気分障害の減少や感情的なストレスの軽減されることが報告されています。ユズの種子からは圧搾法によって「ユズ種子油」が抽出され、キャリアオイルとしてアロマセラピーの基材やコスメなどに用いられています。※下記の基材プロフィールを参照。
一般的な精油に期待される作用:抗菌、血行促進、抗感染、鎮痛、抗炎症 心への作用:怒りや不安、緊張を和らげ、精神的な疲労感を癒します。うつ気味な心、塞いだ気持ちを明るくさせます。 ヒーリングの作用:物事のリセットや節目などの区切りをつけたい時に役立ちます。特に日本人にとっては「禊」(みそぎ)に通じる心と魂の浄化作用となります。 キーワード:邪気祓い、冬の健康、感情の解放、リセット 相性の良い精油:どの精油ともよく合います。(例:ベルガモット、ベルガモットミント、ライム、グレープフルーツ、アトラスシダー、ファーニードル、カルダモン、ローマンカモミール、クローブリーフ等) 禁忌:圧搾法のユズ精油には光毒性があるため皮膚塗布後12時間は直射日光を避けます。天然香水やスキンケアには水蒸気蒸留法の精油を用います。
◆芳香浴ブレンドに ◆室内スプレーに
生のユズの果皮はすりおろして料理の薬味に使われています。乾燥果皮は料理やティー、ユズ塩などに用いられています。黄ユズの乾燥果皮を砂糖や蜂蜜で煮詰め、ジャム状にしたものをお湯に溶いて作る柚子茶は韓国の冬の定番茶で、家庭でも作ることが出来ます。 ハーブの使用部位:果皮 ※生は果皮、果汁 禁忌:光毒性の可能性があるため注意します。肌の弱い人はユズ湯で皮膚刺激を感じることがあります。 ハーブの成分:精油、クエン酸、ヘスペリジン(ビタミンP)、β-クリプトキサンチン、ペクチン、ビタミンC・Eなど 一般的なハーブに期待される作用:血行促進、降圧、コレステロール値降下、健胃、抗アレルギー、抗菌、抗酸化 ハーブティーブレンド:ほとんどのハーブとよく合い、味のアクセントになります。紅茶、中国茶、緑茶とも相性が良いです。 ハーブティーの浸出時間:3分 ハーブティーの味:爽やかなユズ皮の味と香り
◆冷えに ◆ハーブバス、ハーブスチーム
ユズの種子からは圧搾法によってユズ種子油が抽出されます。オレイン酸、リノール酸を含む淡黄色のオイルでほぼ無臭ですがわずかに特有の種子油の匂いがします。種子油にはユズの芳香はなく、キャリアオイルのひとつとしてアロマセラピーの基材や手作りコスメなどに利用されています。手触りは軽く、肌馴染みが良く、肌に潤いを与えます。フィトケミカルのリモノイド成分を含み、抗菌、抗ウイルスなどの作用があります。高知大学と馬路村農業協同組合の共同研究ではユズ種子油にはメラニン生成の抑制作用があり、美白効果があるとの事です。比較的酸化しにくいオイルですが高温、直射日光を避けて保存します。その他にもユズ種子抽出物をブチレングリコール(BG)で溶解した「ユズ種子エキス」にはグレープフルーツシード抽出物の約2倍もの強力な抗酸化作用があり、酸化防止剤として利用されています。 基材の成分:オレイン酸(約35〜40%)、リノール酸 (約35%)、パルミチン酸(約20%) 一般的な基材に期待される作用:抗酸化、抗菌、抗ウイルス、保湿、皮膚軟化 匂い:ほぼ無臭、わずかに特有の匂い
◆ボディ、フェイシャルのトリートメントオイルに
◆アロマテラピーとハーブの資格取得に関してはこちらのページをご覧ください。
|
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
2012-2025 Copyright (C) Holistic Aroma Academy, all rights reserved.
|