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精油とハーブのプロフィール事典《ハトムギ Job's tears》
![]() 英名:Job's tears、Pearl Barley ![]() ハトムギは、イネ科ジュズダマ属の一年草穀物です。「ハトムギ」の名前は種子を鳩が好んで食べることに由来しています。別名を「四石麦」(しこくむぎ)と言い、この穀物が麦の4倍とれること(1反歩の面積で4石分、尺貫法の計量)に由来しています。穀物としての栄養価が高く、短期間で収穫出来ることから、日本ではかつて飢饉の際の食糧として栽培奨励されてきました。属名の「Coix」は、古代ギリシャ語の「シュロ」を、種小名の「lacryma-jobi」は「ヨブの涙」を意味しています。ヨーロッパのキリスト教徒たちはこの種子でロザリオ(祈祷用の数珠)を作ってきました。変種名の「ma-yuen」は、後漢時代にこの植物を中国へ持ち帰った将軍「馬援」(ばえん)の名前に由来しています。日本では種子の殻を剥いた様子が数珠に似ていることから「数珠玉(じゅずだま)」、その他にも種子が真珠に似ていることから英名では「Pearl Barley」(パールバーレイ、バーレイは大麦の意味)と呼ばれてきました。日本で「ジュズダマ」と呼ばれている植物はハトムギの野生種でハトムギはジュズダマの栽培変種です。「麦」の名前がありますが、実際には麦類よりもトウモロコシやススキに近い種です。ハトムギの歴史は非常に古く栄養豊富な穀物として紀元前1500年頃のインドですでに栽培されていました。原産国は中国南部、インドシナ半島などで、古代インドの聖典「リグ・ヴェーダ」のなかにも記述されています。中国の本草書「神農本草経」では、上品(じょうぼん)の薬として中医学や民間療法に用いられてきました。日本には奈良時代(もしくは江戸時代)に伝えられ、江戸時代の本草学者、貝原益軒は「大和本草」(やまとほんぞう)に種子はニキビに有用であると記載しました。ハトムギは肌美容に優れ、種子の浸出液はローションやパックなどに利用されてきました。民間療法では「イボ取り」の植物として古来より知られています。ハトムギは4〜5月頃に種蒔きし、130〜160日で草丈1.5mほどに成長します。8月〜10月に花をつけ、花後になる実(種子)は8〜10mmほどの大きさです。一株から約500粒の実がとれ、殻を剥いて乾燥させた種子は「ヨクイニン」(薏苡仁)の名前の生薬として利用されてきました。(薏苡=よくいは中国の植物名)ヨクイニンには利尿、排膿、新陳代謝促進の作用があり、リンパの流れを良くして、むくみやだるさを軽減します。ハトムギに含まれる「コイクセノライド」という脂肪酸は毒素の排出作用に優れており、国内で腫瘍抑制の研究が行われています。穀物として食べる場合は殻を剥いたハトムギを一晩水に浸け、一度水を切ってから多めの水を加えて鍋で煮て沸騰させ、その後に20分ほど弱火で炊きます。米と一緒に炊く場合は、ハトムギを一晩水に浸けてから米に加えて炊きます。穀物としての栄養は100gあたり360kcalでタンパク質、アミノ酸、食物繊維、カルシウム、ビタミンB、脂質などを豊富に含み、特にタンパク質とアミノ酸は穀物のなかで最も多く、滋養強壮、栄養補給、疲労回復の効果に優れます。食物繊維も豊富で、胃腸の調子を整えて便秘にも役立ちます。ハトムギの最も一般的な利用法は「ハトムギ茶」で、殻付きのまま炒った種子を煎じて飲みます。ハトムギ茶も肌美容に優れていますが、身体を冷やすので妊娠中のハトムギの摂りすぎには注意します。
ハーブの使用部位:種子
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