英名:Japanese indigo
学名:Persicaria tinctoria(ペルシカリア・チンクトリア)
和名:アイ(藍)
科名:タデ科
種類:一年草
草丈:約60〜90cm
原産地:中国、インドシナ半島
アイ(藍)植物画:Wikipedia
アイ(藍)は、中国またはインドシナ半島を原産とするタデ科イヌタデ属の一年草です。別名を「タデアイ」(蓼藍)、「アイタデ」(藍蓼)と呼ばれ、葉からは藍の染料がとれる工芸作物です。藍の染料になる植物はその他に「インド藍」(マメ科)、「大青(ウォード)」(アブラナ科)、「琉球藍」(キツネノマゴ科)があり、世界各地で栽培されています。タデアイはこれらのなかで最も色素成分が少なく、5%ほどしか含まれていません。藍の草丈は60〜90cmに成長し、8月〜10月にピンク〜紫色、白色などの米粒のような小さい花を咲かせます。葉は楕円形で、特に開花前の上部の葉には色素成分のインジゴ(インジゴチン)が豊富に含まれています。葉をちぎると切り口は青色になり、ちぎった葉から根が生えるほど繁殖力が旺盛です。半夏生過ぎに葉の収穫が始まり、収穫した緑色の葉は天日乾燥すると藍色になります。藍の歴史は古く、紀元前から青色の染料をとるために栽培され、インダス文明の遺跡からは藍染の染織槽が発見されています。日本には遣唐使によって6世紀前に伝来し、奈良時代に始まった藍染とともに栽培されるようになりました。19世紀にドイツの化学者によって合成のインディゴ染料が発明されたため、近年では藍の染色や栽培は減少しています。染色には生葉染め、乾燥葉染め、すくも染めの方法があり、なかでも「すくも染め」は徳島県のみで行われている手間のかかる高度な染色技術です。藍の染料は染めだした時の方が青が美しく出るため「青は藍より出て藍より青し」(弟子や子の方が師匠や親より優れること) のことわざになっています。藍染の布には抗菌、防臭、蛇や虫除けの作用があり、なおかつ燃えにくいことから農作業着や制服、江戸時代には火消しの半纏などに利用されてきました。藍特有の深みのある美しい青色は「ジャパンブルー」と呼ばれ、海外でも人気があります。布以外にも木製品や革製品、和紙などの染色や、ヘナ染めと組み合わせて白髪染めにも利用されています。ヘナの白髪染めの後に藍を重ねて染めるとダークな茶褐色になります。藍の葉は染料以外に解熱、解毒、抗炎症などの作用がある薬草として利用されてきました。生薬名を「藍実」(らんじつ)と言い、蛇の咬み傷、火傷、口内炎、食中毒、扁桃腺、腹痛などの民間薬になり、生葉は蓼の代わりに刺身のツマなどに食用されてきました。葉にはポリフェノールが豊富に含まれ、現在ではサプリメントなどにも利用されています。2022年に近畿大学、東北医科薬科大学、富山大学、神戸大学の研究チームによって藍のエキスに新型コロナウィルスのヒト細胞侵入を阻害する成分があることが発表されています。これはエキスに含まれる抗菌成分トリプタンスリンに因ると考えられています。
《アイ(藍)》ドライハーブのプロフィール
ハーブの使用部位:葉
ハーブの成分:インジゴ、ポリフェノール(ケルセチン、ケンペロール)、トリプタンスリン、食物繊維
《アイ(藍)》ドライハーブの使い方
◆藍染めに
初心者向けの藍染キットが市販されています。※専門書籍、サイトなどをご確認ください。
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