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精油とハーブのプロフィール事典《アガーウッド(沈香)Agarwood》
英名:Agarwood アガーウッドは、熱帯アジア原産のジンチョウゲ科ジンコウ属の常緑高木です。ベトナム、カンボジア、インドネシアなどに植生し「沈香」(じんこう)あるいは「伽羅」(きゃら)の名前で知られる高貴な香料の原木となる木です。アジアを代表する重要な香木の一つで「Oud」(ウード)、「Aloewood」(アロエウッド※Aloeはラテン語。アロエの木の意味ではない)、「Agar」(アガー)などとも呼ばれています。香木と呼ばれていますが実際の木や花、葉には香りはなく、風雨、害虫、木の病気などの理由で傷ついた木が樹液を出し、それが自然界の細菌類によって変質し、本来の木には見られない特異な樹脂となって香りを放つようになった部分が香木となります。「沈香」とは変質した樹脂が沈着したことで重さが増し、木が水に沈む(沈水する)ことに由来しています。こうした自然界の偶然的な要因によって良質な香木が得られるのは稀であり、長い年月を必要とするため大変希少で、古来より金と同等もしくはそれ以上の価値があるとされてきました。沈香の重要な産地のひとつであるベトナム産のなかで特に上質なものは「伽羅」と呼ばれ、樹脂が多く含まれた黒褐色のものは最高級品として珍重されてきました。伽羅は「黒」を意味する梵語の「カーラーグル」を語源とし「伽南香」(かなんこう)や「奇南香」(きなんこう)の別名があります。重たくて大きいほどその価値は高く、東大寺正倉院に収蔵の「蘭奢待(らんじゃたい)」は全長156cm、重さ11.6kgと大きく、伽羅のなかでも天下一品だとされています。沈香が温めないと香りがしないのに対して伽羅はそのままでも良い香りがするのが特長です。日本には推古天皇3年(595)に淡路島に沈香が漂着した記録が「日本書紀」に記されています。島人が燃やしたところ良い香りが広く漂ったため、宮廷に献上されたそうです。木ごとに、あるいは同じ木のなかでも香りが微妙に異なり、香道においてはそれらを聞き分ける香りの文化が発展し、お線香や浄化のお香としても利用されてきました。野生の沈香の収穫量が少ないため、現在では栽培した幹部を傷つけることによって得られるものもありますが香木になるまでには酵素の働きが関連しているとのことです。沈香には鎮静、健胃、解毒、抗菌などの作用があるとされ、生薬としても利用されてきました。チベット医学やアーユルヴェーダでは心の病や悲嘆の癒しに用いられ、アラブ諸国では神聖な香料として死を迎える魂の助けになるとされてきました。沈香の甘く清々しい香煙は気を高めるとともに瞑想的な雰囲気を作り、心を落ち着かせて不安を取り去ります。香煙は綿やウールなどの天然製品に移りこみ、好ましい香りが何日も残り続けます。アガーウッドの精油は樹脂が沈着した木部から水蒸気蒸留法で抽出されます。精油の色は黄金色〜琥珀色で粘性があり、1滴でも強い香りを持ちます。芳香は蜂蜜のように甘く、温かく、スモーキーなウッディの香りで複雑な組成からなる深みがあり、タバコやレザー、ムスクやカストリウム(海狸香、かいりこう=ビーバーの香嚢から得られる動物性香料)を想わせる官能的なアニマルノートが感じられます。持続性と濃縮度が高いため、あらかじめキャリアオイルなどで希釈されている製品もあります。アガーウッド精油には抗炎症、抗菌、抗真菌の作用があり、伝統療法では風邪などの感染症、呼吸器系疾患、関節炎、乾癬、湿疹などに用いられてきた歴史があります。心理面では抗うつ、抗不安、鎮静などの作用があり、気分を高揚させながらもリラックスした状態や安眠をもたらします。集合意識や霊性に深く働きかけるアガーウッドの香りは「時空を超えた想像上の古代世界へと私たちを誘う」と表現されるほど壮大な変容状態をもたらします。香材と同じく精油の価格も非常に高価なためアロマセラピー利用は一般的ではありません。主には香油や天然香水、あるいは瞑想、アノイント、チャクラヒーリングなどに使われています。なお、精油原液は濃厚で香りが強いため、人によっては不快に感じられることがあります。他の精油とブレンドし、キャリアオイルやアルコールなどで低濃度に希釈することでアガーウッド精油の香りは非常に好ましいものとなります。 《アガーウッド》精油の作用 一般的な精油に期待される作用:抗菌、抗真菌、抗炎症、高揚、鎮静、抗うつ、抗不安 心への作用:気持ちを高めるとともに心を落ち着かせ、安らかな眠りに誘います。精神を安定させ、不安を取り去り、内なる喜びや楽しい思い出を呼び覚まします。 ヒーリングの作用:深いトランス状態へと誘い、スピリチュアルペインなどの変容に伴う痛みを和らげます。精神と霊性に働きかけて内面を磨き、自然界の持つ力に対する畏敬の念を深めます。 キーワード:変容、高潔、創造、内観、祈り、死と再生、意識の拡大 相性の良い精油:サンダルウッド、ブッダウッド、フランキンセンス、ミルラ、エレミ、ジュニパーベリー、パチョリ、ベルガモット、ブラッドオレンジ、ローズマリー、シスタス、ブラックペッパー、シダーウッド、ピンクペッパー、クローブバッド、シナモン、ローズ、ロータス、イランイラン、ジャスミン、カルダモン、チャンパカ、チューベローズ、バニラ、オークモス、ガルバナム 《アガーウッド》精油を使ったホームケアの方法 ◆天然香水、練り香、香油作りに 《沈香》インセンスのプロフィール 沈香の香木は産地や木によって香りは若干異なりますが、一般には五行説における五味「酸味」「苦味」「甘味」「辛味」「塩辛味(鹹)」に通じる複雑で精妙な香りだと形容されています。 《沈香》インセンスの使い方 ◆薫香材、お香に ◆ポプリ、匂い袋に ◆手作りインセンスに
◆アロマテラピーとハーブの資格取得に関してはこちらのページをご覧ください。
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