サルビア・ディビノラムは、メキシコ合衆国のシエラマサテカに自生するシソ科アキギリ属の多年草です。草丈は1m〜1.5mに成長し、葉は先端が尖った卵型で縁に鋸歯があります。垂直に伸びる茎は中空で角型、唇状の花は白色で紫色の萼があります。属名の「Salvia」はラテン語の「救う」を意味する言葉「salvare」に由来し、種小名の「Divinorum」 は「神にまつわる」を意味しています。別名を「ディバイナーズセージ」(Diviner’s sage、予見者のセージ)や「マジックミント」とも呼ばれ、幻覚作用のある植物として知られています。オアハカ北部の先住民族マサテコ族のシャーマンたちはこの植物の葉を幻覚を伴う治療や霊的な儀式に用いてきました。マサテコ族はこの植物を聖母マリアの化身を意味する「Ska Maria Pastora(聖母マリアの薬草)」の名前で呼び、非常に神聖な植物として部族間で栽培場所を秘匿してきました。サルビア・ディビノラムのもたらす幻覚作用は1982年にスイスの化学者アルバート・ホフマンらの研究によって葉に含まれる精神活性成分「サルビノリンA」が単離抽出され、同成分の摂取が鮮明な夢のような感覚や時空間の認識変化を起こすことなどが解明されてきました。日本では医薬品医療機器等法によって、直ちに人の身体に使用可能な形状のサルビア・ディビノラムおよび主成分のサルビノリンAは指定薬物として規制されています。