英名：Benzoin
学名：Styrax benzoin（ステュラクス・ベンゾイン）
　　　Styrax tonkinensis（ステュラクス・トンキネンシス）
和名：アンソクコウノキ（安息香の樹）
科名：エゴノキ科
種類：小高木
樹高：6〜30m
原産地：熱帯アジア
精油の抽出部位：樹脂
精油の抽出方法：溶剤抽出法
精油の香りのイメージ：バニラのような甘い香り、わずかなスパイシー、バルサム
香りのノート：ベース
ブレンドファクター：2
精油の成分例：
【酸類】安息香酸（10〜35％）
【酸類】桂皮酸（20〜80％）
【アルデヒド類】バニリン（2％）
【微量成分】ベンズアルデヒド、安息香酸コンフィニル、安息香酸ベンジル桂皮酸コンフィニル

ベンゾインは熱帯アジア原産のエゴノキ科の半落葉性の小高木です。野生で育ち、樹高は6〜30mに成長します。有用部は樹脂でマレー半島、スマトラ、ジャワに植生する「スマトラベンゾイン」（Styrax benzoin）とラオス、ベトナム、中国、タイに植生する「シャムベンゾイン」（Styrax tonkinensis）があります。産地や品種によって成分は若干異なり、香料業界ではシャムベンゾインの方がスマトラよりも上質だとされています。樹皮に切り込みを入れてしみ出た樹液が固まった芳香性の樹脂は古くから薬用や香料に使われてきました。古代エジプトではミイラの防腐処理や神へ捧げる神聖な香料として使われ、古代ギリシャの医学書には肺感染症や皮膚病に対する効能が記述されています。樹齢6〜7年になると樹脂の収穫が始まり、その後は11〜12年まで収穫が続きます。樹脂の香りを嗅ぐと「息（呼吸）が安らかになる」事から「安息香」（あんそくこう）と呼ばれきました。樹脂には消毒、防腐、抗炎症、去痰などの作用があるとされ伝統療法では咳、喉頭炎、気管支炎などに対して吸引法が行われてきました。中医学では精神を覚醒させて気血の流れを促進し、胸部と腹部の痛みを抑えると考えられています。ベンゾインのチンキやバームは傷の塗布剤として使用されてきました。良質のベンゾイン樹脂は主に香水や化粧品に用いられ、その他にもトイレタリー用品、洗剤、芳香剤などの家庭用品、シャンプー、ローション、クリームなどのボディケア製品などに利用されています。食品業界ではフレーバーとしてアイスクリーム、シロップ、焼き菓子などの風味づけなどに利用されています。精油は樹脂から溶剤抽出法によって得られます。一般に樹脂を溶剤抽出したものは「アブソリュート」ではなく「レジノイド」と呼ばれています。精油の色は褐色で常温では半固形のため、他精油や溶剤を加えたものが市販されています。粘性が高くキャリアオイルに溶けにくい性質があり、冬期はやや固まりやすいためドロッパーではなくスポイトを利用すると便利です。バニラのように甘く濃厚な香りは心をほどいて不安を取り去り、リラックスや安心感をもたらします。エネルギー的には喉のチャクラと関連し、過剰な感情を整えて自己表現と自信を取り戻すのに役立ちます。みつろうキャンドルに加えると甘い香りが広がり、深い瞑想状態に導かれます。天然香水に加えるとトップノートとミドルノートの良い保香剤として働きます。香りが強いのでブレンドでは少なめに加えた方が良い精油です。皮膚塗布を行う場合は成分に含まれる安息香酸ベンジルが人によってアレルギーの懸念があるため、必ずパッチテストを行ってください。
 

 《ベンゾイン精油》の作用

一般的な精油に期待される作用：消毒、収れん、デオドラント、去痰、鎮静、止血、癒傷、加温

心への作用：神経の緊張やストレスがある時、リラックスしたいのに出来ない時などに。甘い香りは心の受容性を高め、固まった気持ちをゆったりとさせます。

ヒーリングの作用：ブロックしているものをほどきます。自分への呪縛など心や魂に抱えていた不要な荷を降ろすのに役立ちます。肩、首、腰部分などに長く溜まって固まりとなっていたブロックを溶解させます。

キーワード：なぐさめる、ほどく、溶かす

相性の良い精油：ローズ、ジャスミン、ラベンダー、クラリセージ、イランイラン、フランキンセンス、ミルラ、サンダルウッド、ガルバナム、シスタス、サイプレス、ホーリーフ、ローレル、ローズウッド、オレンジ、マンダリン、レモン

禁忌：肌使用は皮膚刺激の可能性があります。
 

《ベンゾイン精油》を使ったホームケアの方法

◆精神的な疲労、緊張感、張りつめた思いに
　芳香浴または腹部に温湿布を行うか、アロマバスに加えます。

◆喉の痛み、声枯れ、咳に
　吸引法を行うか、喉の周りにキャリアオイルで希釈したものを塗布します。

◆手のひび割れ、乾燥肌に
　クリームや軟膏に加えてスキンケアを行います。

◆練り香、香水作りに
　持続性のある香りは良い保留剤になります。

　《安息香（ベンゾイン樹脂）》インセンスのプロフィール

安息香の樹脂は主に薫香材として神聖な儀式に使用されてきました。金褐色〜赤褐色をした樹脂は手でも砕くことが出来るほど割れやすい性質を持ちます。この樹脂を膏肓やチンキ剤にして湿疹や傷の手当てに利用された歴史があります。古代エジプト人はこの香料を軟膏や香水として使用し、有名な香料「キフィ」の材料としても知られています。キフィは魔を祓い、眠りを促すものとして日没に焚かれました。バニラのように甘い香りは悲嘆感情や怒りをなだめ、祈りや瞑想に用いると心の閉塞感を溶かして心を解放させます。媚薬として用いられた歴史もあり、誘惑的な雰囲気を作り官能性を高めます。

注意：インセンスとしての安息香は食品ではありません。
 

　《安息香（ベンゾイン樹脂）》の使い方

◆ポプリ、匂い袋に
　ポプリ、匂い袋を作る際の保留剤として使用します。

◆薫香材、お香に
　専用香炉にチャコールを入れて焚きます。
 

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