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精油とハーブのプロフィール事典《ソイ(大豆)Soy beans》
英名:Soy beans ソイビーンは和名を「大豆」として日本人にとって大変馴染み深い植物です。属名のGlycineは「甘い」の意味で、大豆の葉と根が甘いことに由来しています。種小名のmaxは「大きい」を意味しています。大豆植物は日当たり、風通しのよい土地を好む一年草で夏に淡い紫色〜白色の小さな花を咲かせます。枝の先には3枚の葉がつき、直立した茎は90cmほどに成長します。全草に灰色の毛が見られ、種子は夏に収穫されます。未熟な豆は「枝豆」として野菜に分類されます。完熟させて収穫したものは「穀類」となります。大豆の原産地に関しては諸説ありますが、一般的には中国と考えられており、その後に朝鮮半島、東南アジアに伝えられました。日本には弥生時代に渡来したとされ、中国との交易とともに大豆の加工方法も知られるようになり「古事記」にも「豆」について記述されています。その後、仏教の普及に伴って肉食が禁止されたことから、たんぱく源として大豆食品を摂る習慣が広がりました。大豆は味噌、醤油、豆腐、納豆、きなこなどに加工され、調味料、栄養食、保存食として今日の生活に欠かせない重要な食品となっています。日本では米・麦・粟(あわ)・稗(ひえ)・豆(大豆)を「五穀」と呼び、秋に「五穀豊穣」のための収穫祭が各地で行われています。節分の豆まきには病魔・災い除けの意味が込められています。日本は世界的にも長寿大国であり、長寿の秘訣は大豆食品を含めた栄養バランスの良い伝統的な日本食だと考えられています。大豆には様々な色(黄、白、黒、緑)や粒の形(大、中、小)があり、用途によって使い分けられています。乾燥大豆の約30%は大豆たんぱくで、肉に匹敵するほどのたんぱく源であるため「畑の肉」と呼ばれています。大豆たんぱくは植物性のたんぱく質のなかで非常に優れています。タンパク質は「アミノ酸スコア」で栄養評価されますが、大豆のアミノ酸は肉と同じ100(100に近いほど優良)です。大豆たんぱくには必須アミノ酸がバランス良く含まれ、血中コレステロールの低下や肥満の改善などに効果があるとされています。その他にも脂質、炭水化物、食物繊維、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ビタミンE、ビタミンB1、葉酸などが含まれています。その反面カロリーは低く、消化吸収が良く、過剰な脂質やコレステロールなどは含まれない理想的な食品です。大豆には豊富な機能性成分が含まれています。「大豆レシチン」は総コレステロール値を低下させ細胞の構成に役立ちます。「大豆サポニン」には抗酸化作用があり血中脂質の低下に役立ちます。善玉菌のエサとなる「オリゴ糖」は善玉菌を増やし、「大豆イソフラボン」女性ホルモンのエストロゲンの減少にともなう骨粗しょう症や更年期の不調(ホットフラッシュ、動悸など)を予防します。アメリカ合衆国政府はガン予防に効果があるとされる食品を「デザイナーフーズ」として、そのなかに大豆を挙げています。大豆は20%程度のオイルが含まれており搾油植物として利用されています。大豆を搾った油は「大豆白絞油(だいずしらしめゆ)」として世界で2番目に多く利用されています。オレイン酸、リノール酸が主成分で不飽和脂肪酸を多く含み、こくとうまみのある、いわゆる「天ぷら油」「サラダ油」として加熱調理に広く使われています。化粧用グレードの大豆油はオイルトリートメントや石鹸作りに利用されています。その他にも大豆から得られる「ソイワックス」はキャンドル作りの定番材料として利用されています。 《ソイビーンオイル(大豆油)》基材のプロフィール ソイビーンオイル(大豆油)にはリノール酸とオレイン酸がバランスよく含まれています。色は黄色で、わずかに特有の匂いがします。低温圧搾されたオイルの方が化粧用としてのグレードが高く、ビタミンEや大豆レシチンを多く含んでいます。アロマセラピーの基材としては利用度や少ないものの、すべての肌質に合いトリートメントオイルとして利用できます。 基材の成分:リノール酸(50〜55%)、オレイン酸(23〜27%)、パルミチン酸(9〜13%)、α-リノレン酸(7〜8%)ステアリン酸(2〜6%)、その他(パルミトレイン酸、大豆レシチン、フィトステロール、ビタミンE) 一般的な基材に期待される作用:保湿、皮膚軟化、皮膚の保護 匂い:特有の油の匂い 《ソイビーンオイル》基材の使い方 ◆ボディ、フェイシャルのトリートメントオイルに 《ソイワックス》基材のプロフィール ソイワックスはアロマクラフトのキャンドルやワックスサシェ(ワックスバー)に利用されている大豆油由来の天然ワックスです。白いフレーク状で市販されており、キャンドルクラフト大国のアメリカ製のものが大半です。融点は52〜54℃で蜜蝋に比べると融点は低く、炎が熱くなりすぎないためキャンドルにすると優しい印象を与えます。石油由来のパラフィンワックスに比べて植物由来で環境に優しいことから「エコワックス」と呼ばれています。蜜蝋に比べて安価であるためパームワックスと並んで求めやすい植物ワックスの一つです。常温で固体のため、クラフトでは蜜蝋と同じく熱で溶かして固めます。蜜蝋バームのようにキャリアオイルに溶かしてソイワックスのバームや練り香を作ることも出来ますが、その場合は化粧用グレードを選びます。
◆手作りキャンドル、ワックスバーに 《ソイレシチン》基材のプロフィール ソイレシチン(大豆レシチン)は、大豆中に含まれているリン酸と脂質の結合物です。ビタミンB群が豊富に含まれ、手作り化粧品に加えると角質層になじみやすくさせます。細胞間脂質であるセラミドのような性質を持ち、肌や髪の栄養になります。天然の界面活性剤、リン脂質として市販化粧品では乳化や増粘を目的に使用されています。赤みがかかった粘性の高い液体で、わずかに大豆の匂いがします。油溶性のため基本的にはキャリアオイルやバームなどの油溶性基材に加えて使用しますがジェルやクリームなどにも加えることが出来ます。 ◆手作りコスメに
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