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精油とハーブのプロフィール事典《シスタス(ラブダナム、ロックローズ)Cistus》
![]() 英名:Cistus、Laudanum、Rock rose ![]() シスタスは地中海地域原産のハンニチバナ科の常緑低木です。別名「ロックローズ」、「ガムロックローズ」と呼ばれています。何世紀にもわたって地中海地域で栽培され、モロッコ、ギリシャ、キプロス島、コルシカ島、クレタ島、スペイン、ポルトガル、フランス、ユーゴスラビア全土で栽培されています。岩が多く乾燥した養分の乏しい土地でもよく育ち、厳しい環境にも適応します。細長く直立した植物で尖った葉の表面はウールのように柔らかく、晩春から初夏にかけて繊細で美しい白やピンクの花を咲かせます。花の基部には赤い斑点があり、ミツバチを多く引き寄せます。有用部は枝と葉から採集される芳香性の樹脂で夏期には特に多く分泌されます。シスタスの枝と葉から滲み出る濃茶色の樹脂は「ラブダナム」と呼ばれ、香水や膏肓、そのほかに伝統療法や菓子のフレーバーにも利用されてきました。古代ギリシャの歴史家ヘロドトスの記述ではアラビアのヤギ飼いがヤギのひげに付いていた樹脂を偶然に発見したそうで、現代でもシスタスの生えている野に山羊を放ち、毛についた樹脂を櫛で梳いて採集されています。その他に熊手のような専用の道具「ラダニステリオン」を使ってシスタスの灌木をかき分けて樹脂を収集する方法もあります。熟練した職人によって採取された樹脂は乾燥して固められ、その希少性から「芳香の宝石」、「香料の王」と呼ばれて交易に用いられてきました。ラブダナムは古代世界で使用された最も古い芳香物質の一つと考えられており、何世紀にも渡って人々を魅了してきました。古代エジプトではラブダナムは天からシスタス植物に降り注いだ神聖な「オシリスの涙」であるとされ、これを集めるヤギとともに崇拝されてきました。ファラオ王は天界と繋がるためにこの樹脂を染み込ませたヤギの毛皮で身を飾りました。粘性があるため他香材のつなぎにもなり古代エジプトの神殿ではキフィの材料として使われてきました。クレタ島では最も重要な香料でミノア人たちはこの樹脂を使って香料や軟膏を作りました。特にクレタの女性たちに好まれ、乾燥肌や炎症を起こした肌のスキンケアに使われてきました。芳香は土っぽく、ウッディで動物性香料を想わせる甘美さがあり、最も魅惑的でエキゾチックな香料の一つです。人の心を強く揺さぶる力があり、潜在意識に浸透して記憶や視覚、感情などを呼び起こします。精油はシスタスの葉と枝から水蒸気蒸留法で抽出されるものと葉と枝を煮沸して採取した樹脂から溶剤抽出で得られるものがあります。どちらも温かみのある官能的な香りで保香性に優れています。水蒸気蒸留法のものはフルーティな軽やかさとハーバル、バルサムの香りがします。アブソリュートは豊かで深みのある樹脂の甘さとウッディ、わずかにアンバーグリスが感じられます。香りが竜涎香(リュウゼンコウ=アンバーグリス、マッコウクジラの体内から取れる香料)に似ているためその代用品(ベジタブルアンバーグリス)として使われてきました。170以上もの成分からなる複雑な組成でムスク(動物性香料)に似た特徴的な香りを持ちます。独特の存在感はモスノートやレザリックの香りを加えるために使われ、あらゆる調合に深みと力強い響きを与えます。フランスの調香師フランソワ・コティが1917年に考案したフレグランス「シプレ」(シプレはキプロス島に因む)の成分の一つとして知られています。
一般的な精油に期待される作用:収れん、通経、去痰、鎮静、癒傷、消毒、抗菌、抗炎症、防腐 心への作用:シスタスの香りは不安、緊張や恐れを鎮静させます。視覚、聴覚、触覚などの感覚を刺激し、喪失した記憶を蘇らせる力もあるとされています。 ヒーリングの作用:過去に埋もれていたものを刺激し呼び覚まします。ショックを受けたオーラの回復や、劇的な体験の後の無感情の状態をサポートします。魂を暖め、瞑想や精神統一を助け、変性意識の状態に誘います。 キーワード:蘇り、覚醒、回復 相性の良い精油:花系、樹脂系と合います。ローズ、イランイラン、ジャスミン、フランキンセンス、ミルラ、パチュリーなど。重みのある香りはブレンドの保留剤になります。 禁忌:通経作用の可能性があります。妊娠中は使用を避けます。
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