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精油とハーブのプロフィール事典《サラノキ(サルバター)Sal tree》
英名:Sal tree サラノキは、インド、バングラデシュ、ネパール、チベット、ヒマラヤ地方原産のフタバガキ科の高木です。大きなものは40mにも成長する熱帯性の落葉樹で樹皮は暗褐色で厚く、2月〜4月の乾季に落葉し、4月〜5月に再び葉を出します。広楕円形で赤みがかった緑色の葉には光沢があり、3月から7月にかけてジャスミンを想わせる香りがする淡黄色の花を密集して咲かせます。植物としての歴史が非常に古く、インドでは約4900万年前の化石化したこの木の樹脂が発見されています。木材は樹脂質で耐久性があるため建築に利用され、乾燥葉は料理を盛る皿に使われてきました。一般名の「サル」はサンスクリット語で「城壁」を意味する「シャラ」の言葉に由来しています。ヒンドゥー教ではヴィシュヌ神の化身とされる神聖な木であり、インド神話では復活、再生、若返りを象徴する「生命の木」として知られてきました。サラノキは「沙羅双樹」(さらそうじゅ)とも呼ばれ、これは釈迦が旅の途中で最期を迎えたのが2本のサラノキの下であったことから「双樹」と呼ばれるようになったそうです。ブッダが産まれる時も母マーヤーがこの木の枝を握り、樹下で誕生したと伝えられています。花の咲く期間が短く、そのことから仏教では無常と栄枯盛衰を表し、平家物語の冒頭文「「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらわす」にも詠まれています。サラノキは仏教における三大聖木(さんだいせいぼく)の一つですが、日本の気候では育ちにくいため「沙羅双樹」として日本の寺院に植栽されているのは大半がツバキ科ツバキ属の「ナツツバキ」(学名: Stewartia pseudocamellia)です。サラノキの種子には14〜15%の脂肪が含まれ、種子から抽出される植物脂は「サルバター」(サルシードバター)と呼ばれています。未精製の植物脂は緑褐色で常温で固形、特有の匂いがあります。精製したものは淡黄色〜白色で匂いはほぼなく、粒状の植物脂として食用や化粧用に利用されてきました。サラノキの樹脂は「サル・ダンマル」、「サル・ドゥープ」、「インディアン・ダンマル」、「ショレア・ロブスタ樹脂」などの名前で呼ばれています。樹脂はアーユルヴェーダでは収斂剤に、ヒンズー教の儀式では香として焚かれてきました。樹脂の色は淡褐色で粘着性がなく、非常にもろいので指でたやすく砕くことが出来ます。香煙は甘く、ややスパイシーな香りでエネルギーフィールドを浄化し、素早く変性意識の状態に誘います。心地よい瞑想の雰囲気を作り出すためヒマラヤのシャーマンにとって重要な香材であり、夢からの啓示を受け取るために用いられてきました。 《サルバター》基材のプロフィール サルバター(サルシードバター)はシアバターほどは知られていませんが、保湿性のある植物脂として練り香、クリーム、リップ、手作り石鹸材料などに使うことが出来ます。組成はコクムバターに似ており、肌への浸透性が高く、肌を柔軟にして弾力性を与え、なおかつ脂っぽさを感じさせません。手のひらにとると体温で溶けるので、唇、爪、髪などのケアにも適しています。 基材の成分:オレイン酸(40%)、ステアリン酸(40%)、パルミチン酸(14%)、リノール酸(3〜4%) 一般的な基材に期待される作用:保湿、抗炎症、皮膚軟化 匂い:ほぼ無臭 ※未精製のものは特有の匂い 《サルバター》基材の使い方 ◆ヘアケアに 《サル・ダンマル》インセンスのプロフィール インセンスの使用部位:樹脂 《サル・ダンマル》インセンスの使い方 ◆薫香材、お香に
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