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精油とハーブのプロフィール事典《レバノンシダー(レバノン杉)Lebanon cedar》
![]() 英名:Lebanon cedar ![]() レバノンシダー(レバノン杉)は、レバノン、シリア原産のマツ科ヒマラヤスギ属の針葉樹です。レバノンの山岳地帯と近隣のキプロス島に自生しています。属名の「Cedrus」はギリシャ語で「スギ」を意味する「kédros」に由来し、種小名の「libani」は「レバノンの」を意味しています。「スギ」の名前が付いていますがマツ科の樹木でヒマラヤスギ(学名:Cedrus deoda)と同属です。樹高は30〜50mに成長し、若木は樹幹が円錐形ですが成木は画のように傘状となります。芳香のある木材は耐久性、防腐性、防虫性に優れておりフェニキア人たちは建材や船材に用いて地中海地域との交易にも利用してきました。古代エジプトではピラミッドの棺の材に使われ、クフ王の「太陽の船」もレバノンシダーで作られています。ソロモン王の神殿の建材にも使われ、旧約聖書にも芳香のある針葉樹を意味する「香柏」(こうはく)として数多く記述されています。中世のキリスト教では神の母を象徴する不滅の樹であり、イエスが磔された十字架の頭部の材に使われたとされています。雄大な樹姿はあらゆる文化のなかで強さや威厳、活力の象徴とされ、困難な状況のなかでも内なる神との繋がりをつくる叡智の樹だと考えられてきました。古代には中近東一帯に広く自生していたレバノンシダーですが長年の大規模伐採によって現在では森が消滅し、樹数が非常に少なくなっています。レバノンシダーが自生するカディーシャ渓谷と神の杉の森は世界遺産に登録されており、国の象徴として国旗にも描かれていますが現在ではレバノンの一部の地域に残るのみで樹木は保護の対象になっています。レバノン以外ではトルコのタウルス山脈に自生し、ヨーロッパの一部の国にも植樹されています。レバノンシダーの精油は熟成した木材から水蒸気蒸留法で抽出されます。精油の色は淡黄色で持続性のあるベースノートです。歴史が非常に古く、香水業界では最古の香料の一つと考えられています。芳香はクリーミーで穏やかなウッドノートにわずかなスパイシーと埃っぽさが感じられます。アトラスシダーやバージニアシダーウッドなどに見られる粗削りなペンシルノート(鉛筆のような)がなく、フランキンセンス精油を想わせるエレガントで柔らかみがあるのが特徴です。レバノンでは野生樹の伐採が規制されており、許可された森林からしか精油を抽出することができません。そのため精油は商業生産されておらず、希少かつ高価でアロマセラピー利用は一般的ではありません。主に聖別(アノイント)のオイルやフゼア系などの高級香水に使用されています。なお、市販品のなかにはレバノンシダー精油の名前で販売されていても実際にはモロッコやアルジェリア産のアトラスシダー精油の場合があります。
材はメソポタミア文明では明晰夢を見るための香として使われ、古代エジプトでは神殿の建材や儀式の香として焚かれてきました。香煙はストレスや緊張を和らげて神聖な瞑想へと導き、古代の神秘と大自然とのつながりについての洞察を与えます。
◆薫香材、お香に ◆手作りインセンスに ◆虫除けに
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