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精油とハーブのプロフィール事典《ココナッツ Coconut》
英名:Coconut ココナッツはヤシ科の高木、ココヤシの果実です。ココヤシはヤシ科植物のなかで最も人類に利用されている有用植物でポリネシアから熱帯アジアが原産です。植物学者カール・フォン・リンネの著書「植物の種」(1753年) にも記載され、現在では世界中の熱帯地域で栽培されています。属名のCocosは、ポルトガル語でサルの意味があり、これは殻の模様がサルの顔に似ていることに由来しています。種小名のnuciferaは「堅果を持った」の意味になります。樹高は約30メートルに成長するものもあり、屈曲した幹に5メートルほどの長さの葉が付きます。果実は「椰子の実」と呼ばれ、先が尖った30cmほどの楕円形で未熟なものは緑色、熟すと茶色になります。果実は繊維質の厚い層のなかの硬い殻に包まれており、中に大きな種子があります。人が椰子の木に登って果実を採るのは大変な労働であるため、マレーシアやタイではブタオザルを調教して採らせることがあり、動物愛護の観点から問題視されたことがあります。ココヤシの果実は海水に浮きながら海流によって遠くまで運ばれ、熱帯地方から日本にも漂着することがあります。島崎藤村の「椰子の実」の歌曲は、それを歌ったものです。ココヤシは利用価値の高い植物で熱帯地方では茎は材木に、葉は屋根に、殻は容器に、繊維は編んで籠や敷物などに加工されます。果実はココナッツオイル、ココナッツミルク、ココナッツジュースなどに食用されています。産地で食べられるココナッツの白い果肉は未熟なものは柔らかく、熟すとやや硬くなります。固い殻の内部にはココナッツの果肉である固形胚乳の層があり、中心部にはココナッツジュース(ココナッツウォーター)と呼ばれる液状胚乳が入っています。ココナッツジュースは果実1個あたり1リットルほどで、そのまま飲用することが出来ます。カリウムを豊富に含み、疲労回復や体液バランスに役立つので植物性のスポーツドリンクと呼ばれています。ココナッツオイルは、果実の胚乳から得られるオイルで飽和脂肪酸を多く含んでいます。ココナツオイル中の飽和脂肪酸は「中鎖脂肪酸」で消化吸収と分解がすみやかで、母乳中にも含まれています。未精製のココナッツオイルは約20℃以下になると固まる性質がありますが酸化しにくく、加熱しても変質しません。ココナッツオイルは「圧搾」、「分離」、「ろ過」の3つの工程で取り出されます。圧搾には「高温圧搾」と「低温圧搾」の2種類があり、低温圧搾の方が栄養成分が失われずに良質なオイルが得られます。分離にも自然発酵による「発酵分離」と機械を使った「遠心分離」の2種類があります。発酵分離ではココナッツの酵素が働いて善玉菌が生まれます。圧搾、分離の工程を経て、最後にろ過をしてオイル中から不純物を取り除きます。この時に、精製、脱臭、漂白などが行われるものもあります。ココナッツオイルの表記には下記のものがあり、それぞれ特性が異なります。「バージンココナッツオイル(VOC)」は、低温圧搾で得られる未精製のオイルで栄養分を多く含んでいます。特に「エクストラバージンオイル」と呼ばれるものは香りが良い最上質オイルです。RBDココナッツオイルは、高温圧搾と化学処理で精製されたココナッツオイルでRBDは「R(精製)」、「B(漂白)」、「D(脱臭)」の略です。栄養価は低く、ココナッツ特有の香りはほぼありません。 《ココナッツオイル》基材のプロフィール ココナッツオイルは伝統的なスキンケア、ヘアケアのオイルとして利用されてきました。ココナッツオイル特有の甘い香りは心をほどいてリラックスさせます。肌を保湿し、湿疹を軽減し、殺菌作用によって黄色ブドウ球菌およびニキビの原因となるアクネ桿菌の抑制にも役立ちます。天然ビタミンEを含み、軽い手触りで肌馴染みが良く、クレンジングオイルとしても利用できます。ココナッツオイルは紫外線の約20%をブロックしますが、SPF値は8で、ごく弱い防御であり、あくまでも紫外線を吸収しながら日焼けを促すサンオイルとしての役割です。インドでは伝統的なヘアケアオイルとして頭皮パックや髪の手入れに使われてきました。特に紫外線で傷んだ髪のケアに適しており、オイルの産地では幼少期からヘアケアに使っているため白髪や脱毛があまり見られません。アロマセラピーの基材としてのココナッツオイルには「フラクショネイテッド」(分留された)と呼ばれる「分留タイプ」と未精製のココナッツオイル(ココナッツ脂)があります。未精製のココナッツオイルにはココナッツ特有の香りがあり、常温(28℃)では透明の液体ですが、低温(20℃)になると白いクリーム状〜塊になります。スパチュラで取り出し、手のひらで温めるとすぐに溶けるのでそのままスキンケアに利用出来ます。飽和脂肪酸が90%以上で安定性があり、酸化しにくい性質のオイルです。分留タイプのココナッツオイルは未精製のような特有の香りはほとんどなく、透明で軽い手触りです。肌への伸びも良く、アロマクラフト、アロマコスメ、ヘアケアにも適しています。シーツやタオルへのオイル付着が少なく、あらゆるタイプのオイルマッサージに適しています。バリやフィジーの島々ではココナツオイルは伝統的なベビーマッサージのオイルとして知られています。 基材の成分:カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸 一般的な基材に期待される作用:保湿、皮膚軟化、穏やかな紫外線防御 匂い:ココナッツの軽い香り 《ココナッツオイル》基材の使い方 ◆トリートメントオイルに
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