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精油とハーブのプロフィール事典《フランキンセンス・カルテリ(ボスウェリア・カルテリ) Frankincense Carterii》
英名:Frankincense Carterii フランキンセンス・カルテリは(ボスウェリア・カルテリもしくはカルテリィ)は、紅海地方、アフリカ北東部が原産のカンラン科の低木です。和名は乳香樹(にゅうこうじゅ)、樹脂は「乳香」と呼ばれています。属名の「ボスウェリア」は、この植物について記述したスコットランドの植物学者ヨハン・ボズウェルへの献名です。ボスウェリア属には25種があり「ボスウェリア・サクラ(Boswellia sacra)」、「ボスウェリア・フレレアナ(Boswellia frereana)」、「ボスウェリア・セラータ(Boswellia serrata)」、「ボスウェリア・パピリフェラ(Boswellia papyrifera)」、「ボスウェリア・トゥリフェラ(Boswellia thurifera)」などが主に知られています。かつてボスウェリア・カルテリは「ボスウェリア・サクラ」と別種であるとされていましたが1980年代にこれらは同義だと判断されています。「フランキンセンス」の名前は古フランス語の「franc encens」に由来し「高貴な香」、「本物の香」を意味しています。フランキンセンスの別名である「オリバナム」は「レバノンのオイル」の意味で、これはかつて香料の交易ルートがレバノン山を通っていたことに因るとする説やアラビア語の「木から採れる乳液」を意味する「ルバン(luban)」(ヘブライ語では「レボナ(lebonah)」)から来ているという説があります。古くから香料、薬用植物として知られ、樹木は乾燥した半砂漠に植生し、幹から滲み出る樹液は乳白色で傷口から涙がしみ出るようだと形容されてきました。古代エジプトでは太陽神ラーに捧げられ、日没に寺院で焚かれるキフィ(お香)の主原料として使われてきました。 聖書にも22回と数多く登場し、イエス・キリストにまつわる香料としてもよく知られています。旧約聖書には「夕べの風が騒ぎ、影が闇にまぎれる前にミルラの山に登ろう、乳香の丘に私は登ろう」とフランキンセンスの事が記されており、乳香は没薬と並んで金や宝石、絹に匹敵するほどの価値がありました。樹齢8〜10年で樹脂が産出され、木を傷めないために樹脂の採取は年に2〜3回、手作業で行われています。樹脂は収穫時期に応じて様々な等級に分けられ、最後の採取で得られる樹脂は芳香物質を豊富に含み、最高級とされています。採取はアラビア半島南部のオマーンやイエメン、「アフリカの角」(Horn of Africa)と呼ばれるソマリア、エチオピアなどで行われ、一般的に不透明な樹脂はそうでないものに比べて品質が良いとされています。最近の研究ではフランキンセンスの樹の個体数は減少傾向にあることが示されています。ボスウェリア属の大半は貧困と紛争の問題を抱えた地域に生育し、樹脂を採取、販売することが地域住民の貴重な収入源となっており、それが過剰採取の一因にもなっています。樹脂の主成分は主にテルペンでボスウェリア酸、酢酸インセンソール、フェランドレンなどが含まれています。ボスウェリア・カルテリの樹脂には抗炎症、抗菌作用を持つボスウェリア酸が豊富に含まれており、香油、膏肓、チンキなどの利用に適しています。ボスウェリア属のなかではボスウェリア・カルテリ(=サクラ)、ボスウェリア・セラータ、ボスウェリア・パピリフェラのみがボスウェリア酸を多く含んでいます。中医学では樹脂に鎮痛、瘀血、血液循環の促進、抗菌作用があるとして難聴、脳卒中、顎関節症、女性の月経異常などの治療に使用されてきました。原産地では樹脂をガムのように噛む健康習慣があります。最近の研究では、樹脂に含まれる酢酸インセンソールが脳内の「TRPV3」と呼ばれるチャネルを活性化して不安やうつ状態を軽減し、心地よさとリラックスの感覚を呼び起こすことが示されています。香煙に含まれるボスウェリア酸などの他成分も学習と記憶の改善に役立つと言われています。 ★フランキンセンス・カルテリ精油★ ★イエス・キリストとフランキンセンス★
《フランキンセンス・カルテリ精油》の作用 一般的な精油に期待される作用:鎮静、瘢痕形成、皮膚細胞活性、通経、収れん、消毒、子宮強壮、癒傷、抗うつ、抗カタル、去痰、抗菌 心への作用:精神を安定させリラックスさせます。パニックや焦りの気持ちから呼吸が浅くなっている時に使うと深い呼吸を助けます。気持ちを鎮め安眠をもたらします。瞑想、変性意識の状態に入りやすくします。 ヒーリングの作用:目に見えない世界とのつながりを助け、第6感、霊感、直観力を高めます。祈りを捧げたい時、啓示や信じる力を得たい時に。ヒーリングの回線を開かせ、潜在意識や宇宙とつながる準備を整えます。死者との対話、前世や中間生のヒーリング、ハイヤーセルフ、マスターとの対話を行う際にも。 キーワード:霊的成長、瞑想、啓発 相性の良い精油:花、柑橘、樹脂、樹木、スパイス、ハーブ等、何にでもよく合い、主張する事無く他の香りを引き立たせ、ブレンド全体に深みを与え、良き保留剤となります。 《フランキンセンス・カルテリ精油》を使ったホームケアの方法 ◆イライラ、うつ気味、不安感に ◆瞑想、精神統一に ◆願望成就、浄化、おまじないに ◆風邪、カタル、気管支炎のケアに ◆しわ、加齢肌、乾燥肌に
《乳香(フランキンセンス・カルテリ)》 インセンスのプロフィール 薫香材として最も重要な香料で古代より宗教、儀式、美容法と深く結びついた歴史を持ちます。樹脂の色は通常は淡い黄色〜琥珀色ですが「ブラックカルテリ」と呼ばれる濃い蜂蜜色のものもあります。ブラックカルテリは粘性が高く、一般的なカルテリに比べると甘い蜂蜜のような柔らかい香りで柑橘系の香りは控えめです。樹脂の形は涙、しずく、卵、丸など様々です。乳香を炭にしたものは古代エジプト女性のアイメイクに使用されてきました。キリスト教会では儀式の際に振り香炉(チェーンのついた専用香炉)で焚くのに使用されています。樹脂を燃焼させることで精神活性物質であるトランスヒドロカンナビノールが産生され、多幸感を高めます。イスラム教徒たちは神聖さを保つためにモスクや住居を、そして子ども達にもこの香煙を焚きしめます。 注意:インセンス用の乳香樹脂は食品ではありません。 一般的なインセンスに期待される作用:鎮静、浄化、霊的な成長、魔除け、催眠 《乳香(フランキンセンス・カルテリ)》 インセンスの使い方 ◆薫香材、お香に ◆ポプリ、匂い袋に ◆手作りのインセンスや蜜蝋キャンドルに
◆アロマテラピーとハーブの資格取得に関してはこちらのページをご覧ください。
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