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精油とハーブのプロフィール事典《ナツメグ(メース)Nutmeg》
英名:Nutmeg(Mace) 熱帯地方に生育する大きな黄色い実をつける常緑高木です。種子を乾燥させて作られるスパイスは甘く強い芳香を放ちます。ナツメグの名は「ムスク(麝香)の香りがする豆」の意でニクズクとも呼ばれます。学名のMyristicaはギリシャ語の「よい香りの軟膏」、fragransはラテン語の「香気を放つ」に由来します。樹木は力強く成長し、この木の受粉機能は非常に高いそうです。種子は薬用として古い歴史を持ち、古代インド医学、チベット医学のなかでも使われてきました。最も古い文献は紀元前10世紀のバラモン教の経典「ヴェーダ」で、頭痛薬として記述されています。中世の大航海時代を経てペッパーやクローブとともにヨーロッパに伝わりました。歴史のなかではミイラの防腐処理にも使われてきました。12世紀のローマでは皇帝の戴冠式の際に街中にこの香りが焚かれました。ハンバーグなどのひき肉料理には欠かせない香辛料で、種子は「ナツメグ」、種子を取り巻く赤い種皮を乾燥したものが「メース」と呼ばれます。どちらも香辛料として料理や菓子作りに用いられます。ナツメグはアメリカでは伝統的な甘いドリンク「エッグノッグ」のアクセントに使用されます。パイやチョコレート風味のお菓子にもよく合います。日本には15世紀の長崎に伝わり、「シンズク」という漢方薬に利用されました。興奮作用があるため、男女の愛を結びつける媚薬とされていました。精油は種子(仁)から抽出されます。 ナツメグの種子は人間の脳の形と似ていることから、特徴表示説では脳への働きかけが示唆されています。これはナツメグの精油に含まれるミリシスチン成分を大量に使用すると大脳皮質の運動野に作用し、幻覚を起こす可能性に重なっています。古来より透視や占い、リーディングに使用されたのも、そのあたりに理由がありそうです。〈少なめに使用する方が賢い〉精油のひとつです。ナツメグ精油にはウエストインディアン種とイーストインディアン種があり、若干の成分差が見られます。著名な精油研究者の故高山林太郎氏によれば、イーストインディアン種の方が調香師に好まれるとの事です。
《ナツメグ精油》の作用 一般的な精油に期待される作用:鎮痛、消毒、鎮痙、消化促進、通経、刺激、強壮、駆風、催淫、精神高揚、加温 心への作用:ショックを受けて動揺した時や、心の衰弱、疲労時などに。弱った精神を元気づけます。焦りや不安、神経質な気持ちの状態をサポートします。 ヒーリングの作用:サイキックやリーディングの能力を開かせます。他者へのいたわりや心の暖かさをもたらします。陶酔させるような働き、エネルギーの循環作用があります。 キーワード:循環、温かみ、多幸感 相性の良い精油:花系、樹脂系と相性が良い。ローズ、イランイラン、ジャスミン、フランキンセンス、ミルラ、ガルバナム、シスタス、オレンジなど。香りが強いため少量をスパイス的に加えます。 禁忌:皮膚刺激が起こりやすく長期使用による副作用もあるため使用量・頻度には十分注意します。妊娠中、乳幼児への使用は避けます。 《ナツメグ精油》を使ったホームケアの方法 ◆消化器系の不調、お腹のガスに ◆リウマチ、関節炎のケアに ◆筋肉痛、肩こり、腰痛に ◆全身の疲労感に
ハーブの使用部位:種子(仁) ハーブの成分:オイゲノール、ミリスチン 一般的なハーブに期待される作用:健胃、解熱、駆風、血行促進、制吐、催淫 禁忌:妊娠中は多量、常用を避けます。一度に5gを超える過剰摂取は頭痛や吐き気を催す事があるため注意します。 ハーブティーブレンド:ブレンドして飲みます。日常的な飲用ではなく、主に消化器系の調整を目的に使用します。カルダモン、ジンジャー、フェンネル、エルダーフラワー、ジャーマンカモミール、オレンジフラワー、ローズ、オレンジピールなど。ミルクティーにも合います。 ハーブティーの浸出時間:粉末状にすりおろしたもの 3分 ハーブティーの味:刺激のあるぴりっとスパイシーな味わい 《ナツメグ(メース)》ドライハーブの使い方 ◆消化不良、お腹のガス、食欲増進に ◆血行不良、冷え、倦怠感に ◆マウスウォッシュ、口臭予防に ◆食中毒の予防に ◆肉料理、お菓子作りに
◆アロマテラピーとハーブの資格取得に関してはこちらのページをご覧ください。
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